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ニケと歩けば soixante-et-un

5年使っていたハーネスの傷みがひどく購入することにしました。

毎日2回それぞれ1時間半の道中をしっかりと身を守ってくれたそれは金具もぐらついてきて役目を終わろうとしています。

三頭目のニケは先代たちの首輪ではなくハーネスです。

三代目は一番おとなしくて飼い主を引っ張ることもなく逃げ出す気配はさらさらありません。

階段の上り下りも私のペースに合わせて少し前で止まっては進みヘルパーさんなみの心使いです。

なのにハーネス。それは一代目の雄柴のオオカミに近い性格。散歩中いろいろてこずった経験に起因しています。

飼い主以外は人になれず柴らしい犬でした。ある日散歩中首輪が外れて車の音に驚き逃亡したことがありました。その日は成人式で近くの大学で式に参加する晴れ着姿の女子大生がたくさん歩いていました。もしその人たちの振袖に反応して飛びついたらどうしようと気が気ではありませんでした。

家族みんなで探しましたが見つかりません。私一人が戻ってしばらくした頃です。ガラス戸の向こうから私を呼ぶ真っ黒に汚れた柴がいました。その当時は携帯電話もなかったので捜索中の主人たちの帰宅が長く感じました。

そんな反省からハーネスを選びました。が、心配を忘れるくらいニケは穏やかな性格です。

散歩に行くとなると靴を履き終わる私の横で、片足ずつ挙げてハーネスに収まります。

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室内では草間彌生さんの小さな赤いカボチャのチャームを付けたチェーンだけを付けています。

そのチャームをある日仲良しのワン友の方から渡されて初めて落としたのに気が付きました。「これ草間さんのカボチャですよね」そこで直島に行った時のこと。海岸近くの黄色い大きなカボチャのこと。長野県の松本市にある美術館のことと話が盛り上がりました。

そんなときも静かに例のスフインクス体制で待っています。明日には新しいハーネスが届きます。心待ちにしているのは私だけのようです。

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