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ニケと歩けば quarante

部屋に絵を飾ることが好きです。気に入ったものなら絵葉書、本の表紙、小さな画伯が送ってくれた世界に一つの絵。ちゃんと額に入れます。

シャガールのレプリカは家を新築した時リビングに飾ろうと買いました。

子供たちが成長した場所。花を育て、庭のビオトープは春になるとメダカの

ベビーが元気に泳ぎます。私は料理に腕を振るい、主婦業を楽しみました。

いっぱいの思い出といっしょにその家を手放しました。遠い昔です。子供たちはそれぞれ自分の人生を選びました。

時計の針を戻すとしたら、いつがいいでしょう。

同じ経験ができるとしても同じ結果は生まれません。

経験は人を成長させるといいますが、果たして私は豊かな人間力を身につけたでしょうか。

少し色あせたそれはそれでいい味が出てきました。我が家の空気に染まった、たった一つのシャガールです。家族と一緒に年を重ねたということです。

先ほどの問いかけ。戻るとしたらいつが幸せ?

私は、やっぱり「今」です。いろんな意味で幸せです。いつまでもあらゆることに挑戦できる気持ちをいろんな経験から授かったからです。

人生は楽しくて、歳を重ねることもうれしく思えるこの頃です。


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