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ジェットコースター人生 その39

ご自宅は実母と二人暮らし。瀟洒なマンションにお住まいでした。

自宅から約1時間電車に乗っていくのですが、それは1か月に1度の習わしになりました。注文された商品をもっていくというより話し相手がほとんどです。

ひとり強く生きている女性の中で、占いや、霊能者、宗教に深く傾倒する人は少なくありません。同じ業界の何人かはその啓示に従って聞くだけでも怪しいと思える事業に夢を乗せて踏み出しましたが、その後成功したという噂はついぞ聞いたことがありません。

心が強そうでもそう見せているだけで本当はガラスの心臓、何かに頼りたいという気持ちは実は誰よりも強いのかもしれません。

例にもれず女将さんも静岡の占いの先生がよく当たるとわざわざ招いてその後の商売やプライベートのことを事細かく聞いていました。弱々しい初老の女性がそこにいました。

「あなたも見てもらったら?」悩める女にされています。お付き合いで見てもらいましたが、心に響く言葉は終始ありませんでした。「信じるものはみな救われる」という気持ちが私にはないのかもしれません。

宗教と信仰、とらえ方はそれぞれです。

運命論者の私は、「生かされている」感を強く持っています。

大きな存在の中の小さな自分が与えられた役目をこなすことで守られているとも思っています。

「次回はいつがいい?」すぐには答えず、女将とのお付き合いも長くはないことを知りました。いつものように夕方お暇しましたが、今まで無理をしていた自分が解放されたようでホッとしたのを覚えています。

お腹が減っていたので、奮発してうな重を食べました。自分にご褒美ではありませんがいつもよりしみる!食事となりました。


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