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家の解体

二日ほど前からご近所のおうちが取り壊されています。
長い間空き家でしたから家も傷み放題。長い間そのままの状態でした。

そこだけが取り残されたような風景でした。台風で風がきつい時などは垣根や、雨戸が壊れたりガラス窓が割れたりと、家自体がなんとなく寂しくて悲しそうな様子でした。

それぞれにおとなになるまで、またはそれからも引っ越ししたり、建て替えたりという経験があると思います。

我が家も義母自慢の家を解体して新しく作り直すときがありました。
いよいよお昼から大きなトラックや、重機がやってきて開始時間まで静かに待機していました。

私は新しい家のすべてを任されて、ものすごく張り切っていましたので、早く棟上げの日が来ないかなあぐらいの思いしかありませんでした。

義父と主人も帰ってきてその様子を見守ることになりました。
大きな音でフォークリフトの爪が恐ろしいぐらい容赦なしで屋根に刺さりました。

いよいよ!と思っていると隣の義父の何とも言えない横顔がそこにありました。すでに亡くなっていた義母と子供二人を育てた家は今にも無残な姿に変わろうとしています。

ちいさな声ですが「あ~あ」とつぶやいたのが何ともセンチメンタルで、ウキウキしていた自分が恥ずかしかったのを思いだしました。

それはこの家での家族の歴史が今終わろうとしているみたいで…。
以前は家をとても大切にしていた時代。
愛着も今よりはあったように思います。

ご近所の取り壊しは遠い昔の義父を思い出しました。
永遠の物はないと割り切っていても、その中に詰まった大切な思い出は壊れることはありません。

今度はどんなおうちが立つのだろう。きっと大きな敷地ですから、二軒、ひょっとしたら三軒のおうちが建つのかもしれません。

生まれ変わったその土地に建つ新築を別の家族が歴史を作るのでしょう。

最近は建つのもあっという間ですから、アジサイの花が咲くころには、きっと新しい声が聞こえるのでしょう!

曇り空、今日は寒い一日になりそうですが、風は軽くボーっと眺めている私の横を通り過ぎていきました。

今日もいい日にしましょう!





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