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『ケチる貴方』 石田夏穂

 これは文章の上手い人だ! と思いました。
 おかしみがあって、テンポが良くて。心が喜んでしまう。
 私にとっては、朝井リョウさんがそう。
 頭にスルスル入るだけじゃなく、どこかくすぐられているかのような心地いい感触が文章に含まれているんです。
 ただ「この人の声」を聞いていたいという感覚と同じような気持ちで、触れたくなる文章です。
 この人の変わりはいないという感じが文章にあるんです。
 

 表題作と「その周囲、五十八センチ」のふたつの短編が収録されているのですが、どちらも体感を強く伴うテーマ。
 それが心のあり方とリンクしている。
 また現場感のあるお仕事描写が好きです。
 
 

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