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『横濱IR育児日誌 ~ラスベガスの帝王と子育て始めました! 』川崎かなれ

 最近フォローした作家さんの作品がKindle Unlimitedで出ていたので早速読んでみました。
 表紙からBLなのかな?と思っていたけど、かなり、濃厚にBLでした。

 横浜の再開発をめぐって対立する、古い商店街で居酒屋を営む祖父と暮らす湊斗と、統合型リゾート(IR)開発業者のリアムの二人が恋愛関係になるまでのお話。
 恋愛が主題の物語を描くときも人物の背景や立場、問題となる出来事の背景についてしっかり設定する必要がある。書き手が知識を持っておくのはとても大事だなと感じた。

 対立した立場の二人が知り合うきっかけとなるのがリアムの息子ノア。ノアには母親がおらず、父親のリアムも仕事で不在気味。自らの境遇と重ね、湊斗にはその寂しい気持ちがわかってしまう。
 ノアが架け橋となり、横浜の治安や文化には興味のない計算高い企業人のように見えていたリアムが横浜を守ろうとしていること、仕事一筋で子供を放置しているように見えるのは冷たいのではなく、ギフテッドのノアが同世代とは打ち解けず、しかも父親のリアム以外の人間を受け入れないため致し方なくであることなど事情や人柄が見えてくる。

 誤解が解けることによって、対立から親密さへと変化するのに納得感が持てる展開と人物造形になっている。

 

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