キャリアドリフト(頭文字C)
K介は地元の有名キャリアチームのナンバー2を任される走り屋だ。ある日の夜。K介はメンバーと共に遠征先の秋名山でダウンヒルの試走をしていた。
K介:本気で飛ばすとついてこれねーかよ。まだまだだな、アイツらも。
K介はアクセルを少しだけ緩めた。メンバーが追いつくのをバックミラー越しに待つためだ。
K介:やっと来たか… ん? ウチのチームのキャリア(車)じゃないな。総合商社キャリアか? 戦略コンサルキャリアか? 上等じゃねぇか、、コーナー2個も抜けりゃ、バックミラーから消してやるぜ!
K介は競争心を燃え上がらせた。負けるわけにはいかない。それが走り屋としてのプライドだ。
ギャアアア
ギュルルルルッ
ギャアァアァア
静寂に包まれた闇の中にタイヤのスキール音が鳴り響く。
K介のドラテクは一流だ。そんな自分にピタリと張り付いてくる奴は相当なキャリアに違いない。K介はそう考えた。そしてツインキャリアドリフト状態で互いに急接近した瞬間、ついに敵の正体を視界に捉えた!
K介:ナナロク(※)だと!? ふざけるなッ!
※76世代と言われる起業家たちから生まれたネットベンチャーキャリア
K介は強い憤りを感じ、本気を出した。
ギャアァアァア
ギュルルルルルルル
ギャァアアアアアアアア
しかし、カーブを2つ、3つ抜けても、ナナロクをちぎる(ぶっちぎる)ことができない。
K介:旧式のナナロクキャリアごときを、俺の、外資投資銀行IBDキャリアがちぎれないだと? 悪い夢でも見てるのか? クソッタレがッ!
そんな中、ナナロクがK介を追い抜いた。いや、正確には、この先に連続カーブがあることを知っていたK介が減速したのだ。
K介:コイツ、先を知らないのか? この緩い右の後は、キツイ左だ。減速しないと谷底へ真っ逆さまだぞ!
しかし、ナナロクは減速しない。スピードを維持したまま緩い右カーブに進入すると、体勢を大きく崩しはじめた。
K介:言わんこっちゃねぇ、スピードが乗りすぎてるぞ。キャリアを立て直して減速するスペースはもうねえ
K介が「もう駄目だ!」と思った、次の瞬間に、信じられない光景が起きた。
ギュルルル
ギャアアアア
ゴォアアアアア
K介:な、なに? 慣性キャリアドリフトッ!
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参考文献
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