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シンセサイザーの合成方式をまとめてみた

書き始め
2023年6月14日 水曜日
午後3時01分

ぐらにゅら~しんせに興味を持ち調べている内にシンセの情報に出会って「あれ?自分ってシンセサイザーのこと詳しくないな?」と気づいたので、自分の言葉でまとめてみます。今回は「過程」の視点について言及します。
マジの初心者なのでファストチェックと適温の眼で見守りお願いします。

前提


まずシンセサイザーとは!
音を合成する機器のこと。

シンセをややこしくしている理由として思うのは、発売元やアフェリエイターが色んな紹介の仕方やキャッチコピーを用いるせいで、結局分類としてはなんなの!?が生じるところが1つあると思います。また、Logicに付属している「Alchemy」のように、色んな方式が混ざったシンセサイザーがあることもややこしい現状を作っています。
ちなみに私は最初に使ったシンセがAlchemyだったので「シンセって難しいものだから分からないんだ…トホホ…」となりました。

さて、シンセサイザーの分類に関しては、大きく分けて合成された音の「結果」で分類するか、音を合成する「過程」で分類するかの二通りがあります。
どちらも五分五分くらいで使われていて、作曲する際は結果の分類を参照することが多いです。なのでシンセは「結果:リード系」「過程:加算合成方式」のように説明できます。
他の分け方では「出自」の分類もあって、ソフトウェアシンセのうちソフトとして作ったのか実機をソフトに移行したのかで「デジタル系」と「アナログ(モデリング)系」で分けることも出来ます。
また昔は単音しか鳴らせなかった名残から、単音のみのシンセを「モノフォリック」、同時発声が可能なシンセを「ポリフォニック」と分類することも出来ます。

結果の分類とは、「リード系」「ベース系」「SE系」など、合成した音をどのように使うかという視点から分類することです。Omnisphere2のように「EDM系」と大きな分類で呼ばれているものもあります。
個人間でシンセの話をするときはこっちの方が用途が明確で分かりやすいです。

「過程」による分類


過程の分類とは、音をどのように合成するかに着目した方法です。合成方式のことを「シンセシス」と言います。どんな種類があるのか列挙します。

減算合成方式

オシレーターで音の塊を出して、それをフィルターで削る方式です。実機のシンセサイザーでは減算方式が使われているので、アナログをモデリングしたソフトシンセも減算方式が多いです。

加算合成方式

オシレーターから出たサイン波を重ねていく方式です。数百のサイン波を重ねます。そのため減算に比べるとやや処理が重いらしいです。

FM方式

発振器を複数備えて、一つの発振器から出したサイン波に別のサイン波をぶつけて周波数を変調させる方式です。(←わかんね~)
周波数("F"requency)を変調("M"odulation)させるから頭文字でFM方式と呼ばれています。
発振器自体は少ないのでメモリ不可が小さく、80年代のゲーム機の内臓音源に使われていた経歴がありますが、これのせいでFM方式=ファミコン方式みたいな印象がありました。ややこしいですね。

PCM方式

別名「サンプリング方式」。
上記の3つとは打って変わり、「あらかじめメモリに記録された原音」を加工していく方式です。つまり発振器がありません。
PCMとは「"P"ulse "C"ode "M"odulation」=アナログ信号をデジタル信号に変換するための方式です。例えば.wavファイルはなじみ深いですが、このPCM方式でアナログ→デジタルに変換されています。
「44.1kHz 16bit」の.wavファイルは、音を1秒間に44,100回のタイミングで16bit=65,536個に分解してデジタル情報に変換されたデータです。これってPCM方式だったんですね。iPhoneのボイスメモもたしか.wavなのでPCM方式で録音しているんですね。
まとめるとPCM方式は、録音した音を加工する方式です。

グラニュラー方式

PCM方式と同じくメモリに録音した音を、めっためたに切り刻んで並べ替えて再構築して…という方式です。個人的にはPCM方式の中のグラニュラー方式でも良いと思いましたが、音の加工方式が特殊過ぎるので、切り刻む細かさや粒の長さ、並べ方などに合わせたパラメータをいじるノブやボタンが必要です。そのため方式として分けて考えられるようですね。
ちなみに元手の音を加工する点から、音源は別で用意して、その音にエフェクターとしてグラニュラー方式を使う方法もあります。hvoya audioの「Ribs」などです。(下記にまとめてリンクがあります!自分も使ってみましたが全く理解できず諦めました…。)

ウェーブテーブル方式

メモリに録音した1周期分の音を繰り返し読みだすことで音を作りだす方式です。一番分からないですね。

【追記:訂正しました!】

一周期とは、波1回分の時間のことです。例えば一周が0.25秒かかれば、周期が0.25秒であると言います。周波数とは1秒当たりの波の数です。一周で0.25秒の波は1秒間で4周しますよね。これを、周波数が4Hz(ヘルツ)であると言います。
周期は音によって変わり、0.001秒(千分の一)で一周する波は周波数が1000Hzです。

でもシンセサイザーは、押した鍵盤に対応した周波数を鳴らす必要があります。上記のように元々の音が1000Hzの場合でも、440Hzで鳴らす必要があります。
この時、1000Hzを440Hzに変えるために、一周0.001秒の波を長くします!YouTubeにある0.25倍速の機能のように、ゆっくりにすることで波は長くなり、一周にかかる時間もゆっくりになります。

でもこれでは問題があり、ゆっくりにし過ぎたら音質がおかしくなります。スローモーションをイメージして貰うと分かりやすいですが、「こおおんんんにいいちいいわあ~~~」と化け物のようにどよんとした低い音になります。これでは元の音とかけ離れてしまいますよね。

そこで、ウェーブテーブル方式では、あらかじめ1つの音色に対して複数の音階で録音をしておきます。元になる録音した音が1000Hzなのを440Hzに変えようとすると上記のように劣化しますが、同じ音源で400Hzを録音していた場合、400Hzから440Hzに変えるので音質に大きな劣化は無く違和感もありません。このように複数の同じ音色を録音して音を作り出す方式をウェーブテーブル方式と言います。

ここでいう一周期というのは1モチーフという意味ではなく、1Hzのことです。波形をめっちゃ拡大して見ると、どんな波形もジグザグだったりなめらかだったりの線を描きながら、最後には真ん中に帰ってきますよね。これが1Hzです。440Hzの音を鳴らそう!と思えば、この音を440回読み出す、らしい。読み出すという言葉がなにを指すのか分かりませんが、普通に重ねるで良いんですかね。

一周期で重ねる点がPCMと違う部分です(PCMは録音した音のあたまからおわりまでを使う)。ピアノやギター、ドラムなどの生楽器や声、環境音、アナログシンセの音までなんでも元の.wavとして使えます。


メジャーなソフトシンセ毎の方式


有名なソフトウェアシンセサイザーがどれに類するかも書きます。ただし複数の方式を採用しているシンセの方が多いので、明確な分類は難しいです。~方式でも~方式でもあり、この機能を使えば疑似的に~方式にもなる的なシンセが沢山あるので注意が必要です。
ここでは1つに絞って書き、その他の方式も合併しているシンセには(マルチ)と追記しています。

Xfer Records 「SERUM」:ウェーブテーブル方式

Vengeance Sound 「Avenger」:PCM方式(マルチ)

UVI 「FALCON2」:減算合成方式(マルチ)

Native Instruments 「Massive X」:ウェーブテーブル方式

Reveal Sound 「Spire」:減算合成

Arturia 「Pigments 4」:減算合成(マルチ)

reFX 「Nexus 4」:PCM方式
u-he 「Repro」:減算合成

Spectrasonics 「Omnisphere 2」:ウェーブテーブル(マルチ)

Steinberg 「Padshop」:グラニュラー方式

Native Instruments 「Reaktor」内のシンセ「travelizer」:グラニュラー方式

Waves 「Codex」:グレインテーブル(ウェーブテーブル方式とグラニュラー方式を合わせた合成システムらしいです)

GLITCH MACHINES 「POLYGON」:グラニュラー方式

Daichi 「Synth1」:減算合成

Apple 「Alchemy」:加算合成方式

Arturia 「CMI V」:加算合成方式

Ableton 「Analog」:減算合成方式

Arturia 「DX7 V」:FM合成方式

あとがき

調べてみるとウェーブテーブル方式やPCM方式が圧倒的に多かったです。今回はPC上で動くソフトシンセしか扱わなかったので、実機よりメモリを気にしなくて良いことが大きな要因だと思います。
逸れるので書かなかったですが、FM合成は金属音が強い、など過程による出力の差もあるみたいです。さらに音の合成の難易度、CPUの不可などの特徴があります。ウェーブテーブルやPCMは備える波形の数がデカいのでストレージが50GBは必要だったりと、差は沢山ありました。
この時代にハードウェアの時の考え方と地続きなのは間違いかもしれません。こんなにマルチな方式を採用した音源が多いのであれば、「結果」に着目したほうが便利であることが分かりました。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

書き終わり
同日
午後5時39分

出典・参考にしたサイト(順不同)

https://www.gcmstyle.com/about-vst-synth-type/
https://www.gcmstyle.com/vstlovers/
https://dtmer.info/synthesizer-software-recommended/#i-15
https://dtmhacker.com/wavetable-synthesizer/
https://ja.wikipedia.org/wiki/16ビット
https://ja.wikipedia.org/wiki/減算方式
https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリフォニックシンセサイザー
https://sonicwire.com/product/B3708
Ribs:https://hvoyaaudio.itch.io/ribs
https://sonicwire.com/product/B3643
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/241608/
https://glitchmachines.com/products/polygon/
https://daichilab.sakura.ne.jp/softsynth/
https://blog.landr.com/ja/types-of-synthesis-wavetable-fm-synthesis-and-others-explained/
https://www.ableton.com/en/packs/analog/
https://dtmhacker.com/fm-synth-best/

【追記】
(1)ウェーブテーブルって何? [DTM・デジタルレコーディング] All About
波形メモリ (電子音源の合成方式) - Wikipedia
周波数の単位「ヘルツ(Hz)」とは?周期・波長との関係も一緒に解説! | とはとは.net (towatowa.net)

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