お勉強315:前立腺がん、手術と比べてどれくらい二次がんのリスクが増えるの?

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2794737


前立腺がんの治療としては主に
手術療法と放射線治療があるが、
放射線治療をすると二次がんは増えるのか?
という問題に2000から2015年の
退役軍人病院のコホートの
143 886の患者のデータを使って
回答を出そうとした試験。

36.8%がRTを受け,
残りがAS,手術、薬物療法のみなどの非RT治療
(手術が34.3%)

RT群はGSが高い、TStageが進んでいる
黒人や、アフリカ系アメリカ人が多かったとの事

(1) 診断後の十分な治療情報がない
(2) 診断後1年以内に手術も放射線も受けている
 (サルベージやアジュバントはOK)
(3) 診断から1年以上たってRTを受けている
(4) 前立腺がん治療後1年以内のがん
(5) 治療前のPSAが診断六カ月以上前に99ng/mL以上だった
(6) 治療後の十分な情報がない
は除外

一応、膀胱がん、直腸がん肛門癌、骨盤の肉腫
精巣を除いた男性性器腫瘍、骨の腫瘍、
血液系腫瘍をアウトカムとして設定した
(要は、照射野内と考えられる腫瘍)

色々な因子で交絡をできるだけ調整している
(人種、T因子、年齢、リスク分類etc.)

観察期間中央値は9年
1年以上後に癌を発生した人は
(つまり、診断を受けた後発症したと
 考えられる人)
全体で3%、RT受けた群で3.7%
それ以外が2.5%であった。

多変量解析でもRTは優位な二次がんの因子

多かったのは
膀胱がん RT 群 1.8% 非RT群1.1%
白血病  RT 群 0.7% 非RT群0.5%
リンパ腫 RT 群 0.4% 非RT群0.3%
他も基本的にRT群が多い
発生時期の中央値は診断後6年

1人の余剰二次がんを発生するのは
5年以内で333人治療
10年以内で95人治療
15年以内で53人治療
20年以内で40人治療
(こういうことを考えると、
 若年者のRTはやはり慎重に考えるべき)

白血病やリンパ腫が直腸がんよりも
多かった、ということを筆者たちは
少し強調していた。
(今までそういう報告はあまりなかったよう)

色々思い出を鑑みるにいろいろ治療をしていると
放射線治療後、MDSになった人とか
結構いるなぁと思い当たる。
(たぶん抗がん剤もだいぶ悪さしているんだろうけど)


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