お勉強291:JCOG0909論文化
JCOG0909やっと論文化
コンセプトなどは以前にご紹介した通り
JCOG1109の
DCF群の3yOSが72.1% 3年PFSが61.8%・
CF-RT群の3yOSが68.3%で 3年PFSが58.5%で
https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/204507
https://twitter.com/ryanhuey/status/1484279470718693381
この試験の3年/5年 OS 74.2% /64.5% 3年PFSが57%なので、
JCOG1109のコンセプトと比べても決して劣っていない
うえで食道温存率が5割以上、
というのはやっぱり評価されるべきと思う。
(まぁ、対象ステージがJCOG1109の方が厳しいが…)
ただ、やはりこの試験を実臨床で応用する限界として
「サルベージ手術は前提」なので、
年齢層はややわかめの設定であることは注意。
基本的には3回目の評価でCRでなければサルベージなのですが
意外に知られてない事実として、CRかどうか微妙な場合
非常にしつこく(明らかなCRにならないと1カ月ごとに内視鏡!)
内視鏡をして、徹底的に適時のサルベージを
怠らない、というのは大事です。
結果的にサルベージの内視鏡/手術は 5%/27%と
ちょっと高めですが、それが成績に効いていると思います。
あと、時代的にPDTは入っていませんので
もう少し、今は低侵襲でサルベージできるかもしれません。
このCRT後の局所遺残をどうするのかは
今年の食道学会でも議論があるようなので
とても楽しみにしています。
全体のCRは58.5%だが
cTステージごとでは
78.6% for cT1, 71.4% for cT2, and 40.0% for cT3
で、臨床ステージでは
54.6% for cStage IIA, 76.3% for cStage IIB, and 41.2% for cStage III
だったとのこと。
再発部位は局所に限らず、領域リンパ節にも見られたの事
ただ、不思議なことに遠隔転移や照射野外のリンパ節は
転移が少なかったとの事
(手術と比べ、こういうところに出てくる前に
こういった部位に出てくるという事でもあるか)
食道温存率は明らかにTStageで変わってくる。
サルベージ手術(リンパ節郭清のみもある)
は早めにやっているせいか、
手術中合併症は少なく、(もちろん最初から手術よりは多いが)
リークや肺炎も重症は少なかったよう。
治療関連死は1例気管と肺動脈瘻で手術後7カ月に起こったとの事
R0率は76%(これにリンパ節郭清のみが入っているかは?)
R0切除ができればそれなりの生存。
内視鏡サルベージは5例で4例がESD 腫瘍サイズは中央値2cm
穿孔などはなかったよう。
線量の関係か、G3以上の胸水・心嚢水は3.2%・0%
興味のある心筋虚血はG2 1例のみ
60GyのCRTと比べて圧倒的に少ない。
今後の課題としては再発をもっと拾えるような
画像診断や主義の確立が今後の試験で
得られるのでは、と筆者らは言っている。
もちろんJCOG1109が出てきた時代に
first choiceで提示するのは無理としても、
食道温存を希望する患者さんは一定数いるわけで
とくにStageIIなどではインフォームドチョイス
として患者さんに提示されるべき選択肢では
あると個人的には思います。
(ただ、長期の有害事象の評価は不十分なので
それはしっかり伝えることも必要です)
ただ、前述のとおり
「ダメだったら手術」できる人に
応用されるべき選択肢で、
サルベージできないような人は対象外
ととるのがいいと思います。