お勉強133:JCOG0909

http://www.jcog.jp/document/s_0909.pdf

でました、JCOG0909の総括報告書
(論文出てないのに出しちゃっていいの?)
というわけで、自分の知識整理もかねて。

過去のJCOG試験とまず比較。

まずはJCOG9906

http://www.jcog.jp/document/s_9906.pdf

対照群はほぼ同一。
違うところは

・スプリットがない
・治療のサルベージを逃さないためにまめなチェック
・内視鏡のサルベージが入ってきてより低侵襲に
・線量を低減・照射法の改善で晩期有害事象↓、
 サルベージ手術の安全性がup

この辺りが三年生存率47.1%⇒74.2%というジャンプアップに
効いていると思われる


続いてJCOG9907

http://www.jcog.jp/document/s_9907.pdf
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=735

いわゆる日本の標準治療の
術前化学療法→手術の基礎となっている試験です。

比較しても
PFSも(9907は手術しているにもかかわらず)それほど変わらない
(UICCの版が違うので比較は難しいが
 0909のほうがステージが浅い感はあるのでそのせいかもしれない)
OSはむしろ0909の方が良い。
それで、食道温存率50%超、というのは非常に心強いデータである。

JCOG1109で、たとえCRT→opeが標準治療と
ならなくても(個人的には標準治療になると考えているが)
食道温存率がこれほどある、というのは
非常に魅力的で、患者にかならず提案すべき治療となることは間違いない。

正直、海外では食道がんの非手術治療(いわゆるW&W)
というのはあんまり行われておらず、世界的に
日本がトップランナーなのは間違いない。

治療戦略はAdで決して否定されるのものではないと考えると
食道温存率がおよそ50%というインパクトはかなり大きいと思います。
いい雑誌に載ってほしいところです。
(大変失礼な話だが、JCOG9907よりいい雑誌に載ると思う)

現在の実臨床としては

・PDTが入ってきて、サルベージ内視鏡治療が適応広がったので
 たぶん食道温存率は上昇する
・サルベージ手術を行った群は
 ニボルマブで生存が改善する可能性

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2032125
https://gantaisaku.net/?p=26199&fbclid=IwAR3nkfiG94G1CKi5fM_t2Tj_ZV7beap3feDUx41I9PcUZmGaiKJAvwT7I9Y

(このデータはAdもSqも含んでいるが、
 フォレストプロットを見るとSqの方が効くようで
 もう少しMSTは伸びることを考えると、期待できる)
ニボルマブの上乗せが
いわゆる二次治療や、一時治療に使った場合よりも
効果が高いように個人的には見えます。

というわけで、非常に素晴らしい試験です。
論文化が楽しみです!

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