お勉強362:乳房温存療法と乳房切除、RTの効果で前者が有利?

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37246127/


早期乳がんにおいて、乳房全摘と乳房温存療法(温存手術+RT)を比較。
近年は乳房温存療法>乳房全摘というデータが多いので、
調べてみた、という感じらしい。

評価は全生存(OS)、乳がん特異的生存(BCSS)、局所再発率(LR)を
(割と近年の)2006-2016のコホートで調べてみましたという研究
いわゆる、近年の画像診断下の手術、RTでの乳房温存療法、
全身薬物療法下での比較という趣旨らしい

18歳以上の女性で、pT1-2N0(clinical Stageでないことは注意)
の患者が対象。両側乳がん、他がん合併、RTなしの乳房温存療法、
術前ケモ群は除外。COX比例ハザードモデルで因子の影響を調べる
対側乳がんが出た場合は打ち切り扱い(BCSS)

因子としては
T Stage
ER
PgR
HER2
術後療法としての全身療法

乳房温存療法8322例、乳房全摘4034例
患者群は温存療法でT1が多く
全身療法は両群で8割程度

中央観察期間8.3年で
OS HR1.37 BCSS HR1.49
で優位に乳房温存療法で優位な傾向
(IPWマッチングを行っても)
LRは有意差なし(乳房温存療法で3.2% 乳房全摘で4%)

筆者らは乳房全摘群に合併症が多い可能性や
医学的ではない因子
(社会学的背景や、フォローアップの間隔、医療アクセス)などの
バイアスは否定できないとしている。

筆者らの結論としては乳房温存療法は乳房切除に
劣ることはない、という控えめな要旨。

個人的には、近年同様の報告が続いているようなので
(意図しない)腋窩などの照射がBCSSとかには
効いているのかもしれないと夢想。
早期でも温存ではなく再建が行われる近年ちょっと重要な知見かも。


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