お勉強421:切らない乳房温存治療

https://oncologypro.esmo.org/meeting-resources/esmo-congress/omission-of-breast-surgery-after-neoadjuvant-systemic-therapy-for-invasive-cancer-three-year-preplanned-primary-endpoint-on-a-phase-ii-multicentre



これの続報

トリプルネガティブ乳癌(TNBC)およびHER2+乳癌(HER2+BC)
でネオアジュバント全身療法(NST)すると、
手術後、60%ぐらいpCRとなる。
pCRだと予後良好。

手術する代わりに腫瘍が縮んだ症例で
vacuum-assisted core biopsyで選択し、
その結果でpCRなら手術しないでRTのみで行く、
という方法の長期フォローアップデータ
(上のnote見ていただければ詳細分かります)

・単発cT1-2N0-1M0
・TNBCまたはHER2+BC
・NST後の画像診断で残存乳房病変が2cm
ならば候補

腫瘍床から最低12個のコアを含む
9G画像ガイド下VACBで生検

癌病変が同定されなかった場合、(DCISもダメ)
乳房手術は省略、
患者は全乳房放射線治療+ブーストを受ける

プライマリーエンドポイントは
同側乳房腫瘍再発率(IBTR)
副次的アウトカムには、
瘍細胞(CTC)の評価と
患者報告アウトカム

結果
2017年から2021に合計50人登録され、
平均年齢は60歳
21例がTNBC、29例がHER2+BCであった。

NST後で、17例(34%)が放射線学的完全奏効。
VACBによりpCRが確認された患者は31例(62%)。
追跡期間中央値は38.4ヵ月で
3年IBTR率(主要評価項目)は0%、
3年DFSおよびOS率は100%
(つまり再発も死亡もなし!)

ベースライン時に
CTC陽性であった患者は2人、
6ヵ月後に陽性であった患者は2人、
12ヵ月後に陽性であった患者は1人であった。

複数ポイントでCTCが検出された患者はなし

追跡期間中央値は38.4ヵ月で、
乳房手術を省略しても3年は無再発でいける
というのは背景患者(TNBC/Her2)の
通常の再発パターンを考えるとかなり期待が持てる。

(ちなみに上のnote論文の観察期間中央値は26.4か月)

さらに患者を集めて解析する、とMedscapeには書かれている
問題点としてはこの試験ではMRIは使われていないらしく、
MRIを使ってさらなる検討をしてほしいところ…

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