お勉強316:究極の乳房温存療法?

(放射線治療医の考える)究極の乳房温存療法は
「手術なしで、RTのみで治す」という試みで
今までも色々な試みが行われてきた。

JCOGでもJCOG0306

http://www.jcog.jp/document/s_0306.pdf

という試験が行われ、この時は試験的には
'negative'という評価であった。
時期尚早な試験であった、という評価が
retrospectiveにされているが、
近年の薬物療法の発達で
とくに薬物療法の効く乳がんでこの試みは
再度見直されている。

その試みに(観察期間2年ぐらいが中央値だが)
成功の兆しを感じさせるII層試験

対象は薬物療法が効くHER2陽性(ホルモン問わず)と
トリプルネガティブのT1-T2、N0-1の症例。
画像的に2cm以下まで小さくなって、
pCRの可能性があれば、
いわゆるマンモトーム生検(9G針!)で

最低12core生検し、陰性なら
いわゆる全乳房照射+ブースト14Gy/7Frして
経過を見る、というプロトコル。
(そんなに生検して、ブーストしたら整容性はどーなのだろう…)
そんなに生検したら、残存腫瘍あるんか?と
思ってしまうがそこは徹底的にやるらしい
ちなみに9Gの内腔は3.2mmぐらいらしい…

で、やってみるとこの条件で6割がCRと判定され、
照射して、一例も再発なし。
CRと判定されなかった人の中にも
pCRはいたよう(ってか、生検=外科摘出?)

放射線科医として残念なのは
(モダリティーはMMGとUSっぽいです)
画像的にcCRと判定されても、全然生検での
結果は一致せず、まだまだ画像だけじゃダメだね
と筆者らは書いている。

MRIを使ってもう少し生検の割合を減らせるのでは?
という期待はある。

二年、という期間はトリプルネガティブや
ホルモン陰性HER2では再発見るのに
割と充分では?としつつも、ホルモン陽性HER2は
心もとない、という考察も。

個人的には上記の様に整容性が本当に良いのかと
生検と画像のバランスが気になりました。

世界でも似たような試みは進んでおり、
今後「究極の乳房温存療法」は一定の人たちで
実現していく可能性があります。

日本のアマテラス試験も期待。

http://www.jcog.jp/document/1806.pdf


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