肺癌学会2023 徒然

術前ICI(+術後ICI)でPACIFICの立場はいろいろ変わってきそう

大西洋先生の
「『切れる』=『切るべき』ではない」
というのはけだし名言。

PACIFCのリアルワールドデータ(RWD)は
ここ5年でかなりでて、
AYAMEstudyの結果も出て、
かなりエビデンスとしては固いのと
医師も使い方に慣れてきて
OSは良くなっている印象ではある。
(論文的によいのは「切除不能」
 の定義があまいせいもあると思うが)

周術期IOのRWDはどうなるか…

いわゆる今後9版で変わるという
’N2a’(リンパ節転移一個)は
かなり手術を意識した変更なので
この辺りは術前(術後)ICIになるのだろうな、と。

multiple N2やinfiltrativeN2を
どこまで「手術可能」とするか
食道みたいに「手術可能にするために術前頑張る」
のか今後の流れは予測できない

pCR率だけならCRT+IOがいいんだろうけど、
RTはやはり手術のことを考えると…という
空気をひしひしと会場からは感じだ

一方で京大のSCCはCRT→opeの
成績が十分よく、SCCはそれで行こうと思います、
というのは自分の「SCCのCRTは局所が問題!」
という主張とも合致し、スッキリした。

ただ、III期に関しては
手術の侵襲度とCRTの侵襲度を比べて
CRTが‘less toxic‘ではないと個人的には思う。

今後のRWDに注目ですね。

・早期肺癌
まずはGGOみたいのを治療すべきか問題。
80以降ならフォローが基本で大半の患者さんが
何の介入も受けず逃げきれそうな気もする

JCOGは慎重に積極的縮小手術の群をえらんで
着々とエビデンスを出している。

癌の再発は多いけど、OSが上、という
https://note.com/nijuoti/n/n439eec86c254
ここでも上げた
「がんを治療する」ことが「その人の全体とした利益になっている」
ということが必ずしもイコールとは限らない、
というのは結構衝撃的。

発表者の先生は一部を除き、この結果だからだれでも
第一選択が部分切除、という感じではなかった。

SBRTは果たしてどうなのか、
個人的には「日本の手術」と「最先端のSBRT」
では日本の手術のほうが(癌に対する治療成績では)
勝っているかもしれないが、すべてを含むOSが本当にどうなのかは
勝っている可能性もあると勝手に思っている
(これは肝臓がんでもそうじゃないか、と思っている)

(根治的)SBRTとICIは相性が良さそうなので
https://note.com/nijuoti/n/n670126e34c21
https://note.com/nijuoti/n/n0b60a84e6589
その面でも今後の伸びしろはまだある。

外科の先生は「リンパ節の評価が…」
と言われるが、ICI時代、リンパ節を切除して
評価することにどのくらいの意義があるのだろうか。

中枢型の小型肺がんはむしろこれから喧々諤々
が起こりそう。SBRTの苦手分野だし、
手術もそう簡単ではないそう。

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