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義父の認知症のこと(監察医朝顔2022スペシャルを見ていて思ったことなど)

こんにちは。
現実派★色いろセラピストの吉田美穂です!

2022年9月26日に放送されたドラマ「監察医 朝顔 2022スペシャル」を見て色々と思ったことがあったので、ちょっと書いてみますよ(^^)/

ドラマの主人公、桑原朝顔さん。お父さんの万木平さんはアルツハイマー型認知症を患っているという設定です。我が家は4年前に亡くなった義父が認知症で、私はお嫁に来てからの約11年、認知症と向き合いました。

認知症介護はね、皆さん「大変そうですね」という感じのことは言ってくれるのですが、実際にどれだけ大変かは、経験しないとわからないと思います。

これホントに大げさじゃなくて、自分が実際にその立場になるまでは全く想像がつかなかったような出来事が毎日毎日、数えきれないほど発生するし、寝る時間はなくなるし、自律神経もやられるしで、私は3ヶ月で6キロやせたり、ストレス性の腸炎みたいになって、何か食べればすぐ出ちゃう羽目になってました。あまりにお腹痛くなるし食べられなくなるから、大腸内視鏡検査を受けに行きましたね~。

だから、ドラマの中で平(たいら)さん(時任三郎さん)や朝顔さん(上野樹里さん)をはじめとしたキャストの皆さんが演じているのを見ていると、いろいろわかり過ぎてフラッシュバックの嵐でした。

頑張ってるのに報われない感じ、いら立ち、悲しみ、無力感・・・。
どうにもならない、抜け出せない感覚は、実際に味わった人じゃないとわからないと思います。

認知症介護は、とにかく実際に経験しないとわからない!

ドラマをご覧になった方はお気づきだったかもしれませんが、平さんの衣服に名前と住所が縫い付けてありましたね。年齢は63歳とありました。
若年性認知症ですよね。

義父も定年になる少し前から(?)認知症の傾向があったようです。
私がお嫁に来た頃には完全に認知症でした。
まず、結婚前から打ち合わせとか両家の食事会とかで何度も私の父と顔を合わせていたのですが、義母の葬儀の時にうちに泊まりに来た父とは初対面のつもりで話していました。

親しげに話している義父と私の父でしたが、私の父がトイレか何かで場を離れたとき、試しに義父に「さっきの人は・・・?」と聞いてみると、「さぁ・・・・よく知らない人。」と答えました。

そんな感じのことはしょっちゅうでした。病院とかスーパーとかで親戚とバッタリ会った時も、普通に話しているけど後で聞いてみると「知らない人」と言います。というよりむしろ「え?誰かに会ったのか?今日」みたいな。

普通に話しているから、周りの人からはわかりにくく、介護の大変さを理解してもらえないということが多々ありましたね。

意味不明な行動ばかり・・・?本人にとってはちゃんと理由があるんです。

認知症患者は、時々、意味不明な行動に出ます。

みんなで畑に野菜の種をまいた直後に思いっ切り耕しちゃったり。
愛犬のお散歩でちゃんと排泄が済んだことを忘れて長々と連れ回したり、帰宅してすぐにまた散歩に連れ出したり。

日がな一日、ベランダ掃除をし続けたり。
ちょっと畑に行って何もしないで帰ってきて、作業着を洗濯機に入れるのを何度も繰り返して、最後は着る作業服がなくなってしまったり。

とにかく2階から降りてきては1階でテレビをつけてすぐ消して、手を洗って2階に戻るのを延々と何十回も繰り返したり。私が夕飯の支度をしている時にそんな感じで何度も往復されちゃうと、階段で転倒したりしないか気になって夕飯の準備に集中できなかったりします。

やっぱり覚えていることが難しいという状況なので、とにかくいつも「あぁ~あれやらなきゃ!いや、これもやらなきゃ!もうどうしたらいいんだ!」という状況が続いていたのかもしれないです。
どんなに作業が完了していても、「完了した」ということを忘れてしまうので、何度でも「ヤバい!やってない!」ってなってしまっていたのかもしれません。

そう考えると、一見すると意味不明な行動でも、ちゃんと理由があるんだな、と納得いきませんか?

「認知症介護の初期段階あるある」として、「もぉ~!何回も言ったでしょ」とか、「その話、もう何度も聞いたよ」と言ってしまうということがあります。本人は初めて話しているつもりなので、こちらも初めて聞くような顔して聞いてあげましょう。

あとは、「もぉ~なんでそんなことするの?」とか。
介護者から見ると意味不明でも、本人の中ではちゃんとした理由があって行動しています。
もし困った行動を見かけたら、「お父さん、お茶が入ったけど、一緒に飲む?」などと声をかけて注意をそらし、やろうとしていたことを忘れてもらうというのが、我が家では円満な解決方法でした。

監察医朝顔のドラマでは描かれていなかったですが、認知症介護でいちばん大変だったのは、実は・・・

周囲の人たちの「認知症に対する理解のなさ」が実はいちばん大変だったりします。

家庭において、「少しでも目を離したら、家に火をつける可能性もある」という状態で、「普通の人なら何でもないことで猛烈に怒りだして暴力をふるう」という状態で、「食べ物じゃないものを食べたり、農薬を飲んでしまう危険性がある」という状態で、本人の命を守るためには施設などのような専門家のいるところに預ける必要があると判断して、苦渋の選択で施設にお任せした時に・・・

親戚やご近所さんから「家族は一緒に住んでこそだ。母親が亡くなったらすぐに父親を施設なんかに入れて、厄介払いか」というようなことを言われました。

あーこの人たち、何もわかってないなぁ、と思いました。
こういうことを言う人は、認知症介護の経験がない人たちです。
「3日間、一緒に暮らしてみればわかる」と言いたくなります(笑)

そして実際、認知症介護の経験者はそんなことひとことも言いませんでした。むしろ「今まで大変だったでしょう」とねぎらってくれたりします。

やっぱり、経験した人にしかわからないのです。

こんな感じで周りの人たちからの理解が得られないという状況が予測される場合、認知症介護者は現状を隠して普通にふるまおうとします。施設ではなく自宅で何とか面倒を見ようとします。

すると何が起きるか。
心中事件や介護者の自殺など、悲しい事件へと発展するケースもあるのです。

最近は結婚しない方も増えてきています。これからは、たった一人で親の介護に向き合う若者が増えていくかもしれません。私は夫がいたから乗り越えられたけど、一人では無理かもしれません。

そこで必要となるのは・・・

やっぱり、周囲の人たちが理解してあげることなんです。

これからの社会に必要だと思うこと

認知症介護について言えば、という前提ではありますが、私が自分の経験から感じた「これからの社会に必要なこと」は、以下のようなことです。

  • 認知症介護者は、周囲の人に現状を公表する。

  • 周囲の人は、認知症のことを知り、患者がおこしそうな行動を予測し、気をつけて見てあげるなど、協力できることをする。

  • 介護者は、必要に応じてしかるべき施設を利用する。

  • 周囲の人も、施設利用は厄介払いなどではないことを理解し、優しく見守るように努める。

そのためには、まずは認知症介護経験者が何らかの形で地元の人たちに自分の経験を話す機会を与えるなどしてほしいと思いますね。

認知症の症状は多岐にわたり、人によってどの症状が出るかが全然違います。
できれば、複数のご家族からお話を伺えるような機会があったらいいなぁ、と思っている私です。

とにかく知ってもらうことが大切。
「監察医朝顔」のようにはきれいにまとまらないと思うのです。
いくつもの壮絶な闘いが、実際には存在します。

私自身、正直なところ、あのころほど心が危機的状況だったことはないです。
そして、介護の初期段階ではたくさんの失敗をしました。今から思えば私の「黒歴史」です。

だからこそ、私のような思いをする人を減らしたいんです。

そのためには、認知症を知る機会を増やすしかないと思います。

皆さんの中で認知症介護経験のある方はいらっしゃいますか?
もしよろしければ、コメントなどお寄せください。


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