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大型で強い台風14号が日本列島に接近している。台風の接近に伴って、暴風が吹き、大荒れの天気となるおそれがあり、様々なメディアで注意が呼びかけられている。ニュースの映像には、強風によって枝葉が大きく揺れている木々が映し出されている。

海外にいた時、嵐のような強風が去ったあとの道路に倒れている倒木を見た。立派な幹回りで、葉もびっしりと生い茂っているため一見、樹勢が強いと感じてしまう。しかし、倒れたからこそ見ることができた根は、土の上の部分とは正反対と感じてしまうぐらい細く、短いものだった。土の下にある目には見えない根の貧弱さと地表に現れている枝葉の豊かさのアンバランスさに驚いたことを覚えている。

この時、ふいに人間も同じではないかと感じた。人の目に見える部分がいくら立派でも、それを裏付ける人格ともいうべき根っこの人間力が大事ではないかと。ここが充実していないと、いくら外からは立派に見えていても、何かがあればポキッと倒れてしまう。だから、人間としての心根をしっかりと生やしていきたいと。

心根を自分の中に根付かせるには、どうしたらいいのだろう。今現在の自分の答えは、困難と感じたことに実直に向き合い続けることである。誰にも知られることのない自分の中で、数ミリずつでも挑戦し続けることである。それは、真っ暗な土の中で、硬い土壌や岩にも負けず根を生やし続けている木の根と一緒である。そうイメージすると、硬ければ硬いほど(難しい)そこに根を張ることは、人生の土台がしっかりするということである。困難さが少しだけ楽しみとも思えてくる。

教育に携わる者としては、児童生徒の心根をどのように育てていくべきかとも考える。心根を生やすことができるのは、本人だけ。そうであれば、周りのものの役割は、環境を与えること。土壌を柔らかくし栄養を与える環境がよいのか。あえて自然のままの過酷な環境がよいのか。その中間か。答えはきっと、目の前の児童生徒の状態によるのだろう。だからこそ、目の前の児童生徒の様子をしっかりと見取りたい。そして、将来、天まで届くような見事な木のように育つように、大きな根を地中に這わしてあげる環境を与えたい。

どんな強風が襲ってこようとも、どっしりと地中に張った心根ではねのける。そのために毎日をどう過ごすかを考える。この3連休、自然の猛威と対峙しながら改めて自分の心根について考えてみたい。
                           槙 正智


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