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人気店の鮨職人にクラウドCRMのことを紹介した話

「常連さん=定期的に来店される方」っていうことではなくて「常連さん=うちのお店で美味しいものを味わって、いい時間を過ごした方々の総和」みたいな感じなんです。

人気店として名高い青山のある鮨屋の大将(といっても30代の誠実な好青年だ)は、あるクライアントと打ち合わせを兼ねて食事に訪れた私に言いました。

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こんにちは。
ベンチャー、スタートアップ、中小企業専門に、ZOHOやSalesforceの運用支援をしている虹雲ワークスです。

この仕事をしていると、本当にさまざまな業種業態の方からクラウドCRMの活用について相談をお受けします。
世の中には、こんなにもたくさんのビジネスと、それぞれの顧客とのつながり方があるんだな、と仕事を超えた驚きや尊さを感じることもしばしばです。
そんな経験を、システム開発技術の話ではなく、ストーリーとして伝えられたらと思い、noteをはじめました。
(この話は実体験を基にしていますが、あくまでフィクションですのでそのつもりで読み物として楽しんでもらえたら幸いです。)

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カウンター席で同席したクライアントとクラウドCRMについて(というか顧客との関係性をどうしたいか、みたいな)相談していた私たちは、ちょうど他のお客さんが帰って私たちだけになったタイミングで大将に「常連さんとの関係性」について聞いてみました。

世の飲食店の中で、最も常連さんを大事にする形態かなっていう勝手な想像もありましたし、常連になったらどれだけ手厚くもてなされるんだろう、という興味本位もありました。

もちろん雑談のつもりだったのですが、手が空いたタイミングだったこともあってか、思いのほか話に乗ってくれた大将は饒舌に話をしてくれました。

「うちみたいな店は、やはり常連さんを大切にします。やっぱり繰り返し来てくれるお客さんはこちらのことも大切にしてくれる人が多い。支えてもらってると思いますし、純粋に、この人たちのために美味しいものを探求し続けたいな、とも思います。
ただ、人数もそれなりに多いし、細かいところまでは覚えきれないので、今までノートに手書きで書いてたんですが、やはり覚えきれなくて。」

なるほど。
まさにそういう時のために使うクラウドサービスの話をしてたんです、CRMっていうんですけど。
「ちなみに、どういうことをノートに書いておくんですか?」

「うーん、お酒の好みとか、最近だとシャリの大きさの好みとか、お料理を出すペースとかですね。そういうのって、毎回聞くの無粋だなっていうか、こちらから「このお酒お好きでしたよね。今日もお出ししましょうか」みたいな感じがスマートだと思います。
あと、もちろん来店履歴なんかも記録してるんですが、前回の話を敢えて出さないこともあります。
お連れの相手によっては前回誰々さんと一緒でしたね、みたいな話を迂闊にできないです。別の女性を連れてきてることもあるから。
そのあたりは、来店前にノート見直したりして、ご迷惑にならないように振舞ったりはします。あと、基本ですけど「私はあなたのことを覚えていますよ。今日もありがとうございます。」っていう振る舞いをちゃんと態度に出せることが何より重要です。」

さすが、若くして人気店の大将になった方は心配りが違います。
基本情報としての好みや来店履歴をしっかり押さえていると同時に、毎回それを見直しアップデートしながら目の前の接客に活かしていく、職人でありながら、もはやデキる営業マンみたいな感じです。

人気の鮨屋=常連で安泰、みたいな安易な先入観があった私は聞きました。「定期的に来店される常連さんってどのくらいいらっしゃるんですか?」

皆さんが思っているよりも、実際に定期的に来られる方は少ないです。
美味しいお店は他にもたくさんありますし、最近だと新型コロナとかで現実的に来られなくなることもありますよね。

でも、たぶん常連さんっていう言葉のイメージがちょっと違って、「常連さん=定期的に来店される方の人数」っていうことではなくて「常連さん=うちのお店で美味しいものを味わって、いい時間を過ごしてくれた方々の満足度の総和」みたいな感じなんです。

ノートを見返して嬉しいなと思うのは、やっぱり人数と来店回数が全体として少しずつ増えていくことで、それがお店の見えない財産だと思うし、鮨職人として積み上げてきた存在価値だと思うんですよね。

そういうことをわかりやすい言葉で表したのが「常連さん」っていう言葉で、決して高いお金を払ってひいきにしてくれる一部の個人を指した言葉ではないんですよ。

結局、鮨屋ってカウンターで席数も決まっていて無限に価値を提供できるわけではないから、うちのお店で美味しいものを味わって、いい時間を過ごしてくれた方々が多くなっていって、そういう方々に囲まれるからこそお店が繁盛する、っていう感じがベストだと思っています。

これぞまさに、クラウドCRMの世界でいうところの「LTV(ライフタイムバリュー)」の価値観だと思いました。

ノートに手書きという形であったとしても「個のお客さんそれぞれの情報を活用しながらも、自分たちのサービスを通して、よい顧客体験を全体としてどれだけ提供できたか」を成功の指標として、楽しそうに話しをされる大将に、CRMの根本的な存在価値を見た気がします。

プロとして自分たちが提供する商品については絶対の自信を持った上で、お客さん一人ひとりの事情に左右されるのではなく、全体としての顧客体験を最大化させるために情報を最大限生かしていく
雑談のつもりが、クラウドCRMのプロフェッショナルとして初心を改めて学んだ気分です。

同席したクライアントとは、それからしばらくの間、LTVの追求が大きな取り組みテーマとなりました。
ひと段落したら、また一緒に鮨を堪能にいく約束です。
楽しみ ♪


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