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糖尿病の検査について②


糖尿病の合併症とその検査についてお話させていただきます。

高血糖の持続などにより細胞が障害されることによって起きる
→細小血管障害
高血糖と様々な危険因子が動脈硬化を進行させることによって起きる
→大血管障害

今回は、さらに細小血管障害の三大合併症に注目したいと思います!

細小血管障害によって起きる糖尿病三大合併症は、
・糖尿病性神経障害
・糖尿病網膜症
・糖尿病性腎症

があります。

〇糖尿病性神経障害
神経栄養血管の細小血管障害や血栓症あるいは神経組織の代謝異常により、感覚神経や自律神経などが障害される病気です。

【当院で実施している検査】
★血圧脈波(ABI・TBI):下肢動脈の狭窄(狭い)・閉塞(つまる)を評価する検査です。罹患率の長い糖尿病や持続透析患者では足関節より中枢の動脈は石灰化が著しいため、ABIだと本来より高値になりやすくなります。そこで当院では、TBIも導入しており、TBIを使用することで足趾血管石灰化の進行している患者さまでも閉塞性病変の存在を測定することができます。
★DPN検査(糖尿病性末梢神経検査):末梢の感覚神経の1つである腓腹神経に電気刺激を与え、神経に興奮が伝わる速度と大きさを測定する検査です。
★SPP検査(皮膚灌流圧検査):皮膚表面の小さな血管の中の血液の流れを見る検査です。


血圧脈波検査

〇糖尿病網膜症
慢性の高血糖により網膜細小血管が障害されて新たな血管が作られます。これが破綻することによって出血し、増殖膜が生じ網膜を牽引することで網膜剥離を引き起こします。

【当院で実施している検査】
★(無散瞳)眼底検査:目の奥にある血管をはじめ、網膜、黄斑部、視神経といった部位を撮影します。当院では、散瞳薬を使用しない検査ですので、患者さまの体の負担にならないような検査を行っています。

眼底検査



〇糖尿病性腎症
腎臓内の毛細血管に硬化性病変が生じる病気です。
腎不全期には、倦怠感、浮腫、貧血、腎性高血圧、高カリウム血症などが進行し、末期になると肺水腫、心不全、出血傾向、手の震え、意識混濁などの尿毒症症状が現れます。

【当院で実施している検査】
★尿中アルブミン・尿蛋白:尿中のアルブミン、蛋白を調べます。腎症では、初期にアルブミンが出始め、徐々に進行することによって尿中に蛋白が出始めます。さらに進行することで腎機能が低下していきます。なので、アルブミン量を定期的に測定していくことは、腎症の予防につながります。

今回は、糖尿病に特異的である細小血管の三大合併症についてお話しましたが、早期発見し、しっかりと血糖コントロールをしていければ全員が罹患してしまうとは限りません。

日々の生活の中で、自分の体について少しでも興味を持って体調に違和感を感じたら我慢せず、一度病院などで検査をしてみてください。

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