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小説『地獄の王』

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ホームページで公開しているSFファンタジー小説です。 ホラーやアクションも入っています。
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#ダークファンタジー小説

『はじめに』 と 『目次』

ご覧いただき、ありがとうございます。 小説についての注意事項などを記しました。 小説『地獄の王』について 1、この話は、フィクションです。 2、小説には、作者の意に反して(?)とてもたくさんの人や女神(神)とその 部下(精霊)、鬼、ドラゴン、魔物などが登場します。また、史実や世間一般に いわれていることと異なる場合が所々あるかと思いますが、物語の設定上のこと としてご了承ください。  わからなくなったら、こちらの「登場人物」のページ(私のホームページに移動します)を参照し

第16章ー第二都市(寮の3階、1番奥の部屋) 1,「一つの方向から、物を見ないようにしろ」

 ルナの部下たち  寮の3階、1番奥の部屋の前で私は立ち止まり、ドアの把手に手をかけ内側へと押す。 「あっ、澪様!」とハピラキの声 (このドアは食べられなかった。脱衣室も押し入れも・・・なぜ、あのドアだけ食べられたの? っていうか、なかったの? 金具ごと・・・。) などと考えながら、ドアを閉めた。  部屋の方を振り向くと、左手にあった部屋の壁が取り払われ、代わりに大きな長方形のテーブルが置かれ、その上には昼食と同じ豪華な夕食が並べられ、すでに食べ始めている。  私の

第15章ー第二都市(寮の3階、二人部屋)  1、 「由美ちゃんも、地獄姫様に何かお願いが あったのかな?」

川原さんとおしゃべり  外の廊下に出ると、二人部屋の前で川原 幸子さん(以下、すべて川原さん)が どうしようかと悩んでいる。高森君は、いないらしい。  私は、近くに行き 「開けないの?」 「う、うん・・・・」 うなずくも、じっと二人部屋のドアを見ている。  私は思い切って、ドアの把手に手をかけ開け放す。 「あっ・・・・・。」 川原さんが小さく声を上げ、離れていくドアに手を伸ばすも、それは空く放物線を描き、遠ざかっていった。  部屋の中は何もなく、床の上の血は(銀河

第14章、第二都市(寮の3階、1番奥の部屋)ー1、「普通に使って、引き千切れる物じゃないんですよね。」

前回(幻覚について)の感想など  アルテミスは帰った。  私と女神たち、キングと部下たちは、校長先生と市長さんを先頭に、寮に戻る。  入って左側の階段を上っていると 「キャー!!」 ナナとミミの叫び声が、聞こえてきた。  いち早く、藍白とタガメが駆け上がって行く。  私は、たいしたことなさそうなので、先に行く2人にまかせた。  校長先生が振り向き、私に 「良いんですか?」と、駆け上がって行く2人を指差す。  私は苦笑いしながら 「たいしたこと、なさそうなので」  マー

第12章、第二都市(中庭)ー1「ルナって、今晩あたり来ると思う?」

ルナの考え  校舎や寮では、ガヤガヤと片付けや掃除を再開している。  校長先生と市長さん、B地区の区長をしている赤い髪のおじさんは、大事な話があるようだと、一緒に話を聞いてくれている。  ルナの第1の部下、アーサーが立ち上がった。  アーサーは会議でよく見る金属の鎧を脱ぎ、黒のTシャツとズボンを着ている。その隣の3人の部下たちも、同じ様な服装でアーサーを見上げている。  私と女神たち、その部下たち、キングとクリスは、テーブルの前のキングが出してくれた豪華な食事に手を伸ば

第11章、第二都市(寮の3階、1番奥の部屋と二人部屋)ー2「この星の警戒レベルを、5に引き上げました。」

レベル5とその原因   「キング、ありがとう。」と、私は礼を言う。 「お、おお、って、お前は何を・・腹が減っとるのでは、なかったのか?」 「中を見てから。」  階段の方から、アルテミスが上がって来たので 「アルテミスが、話があるって」 「もう、ひどいわね。」とアルテミス、顔は笑っている。  その後ろから、市長さんがついて来ている。  校長先生も再び上がって来たので、私は 「校長先生、都市の人たちや学校の人たちは、みんな中庭に行きましたか?」 「えっ!?・・あっはい、私は

第9章、寮(3階1番奥の部屋、夢の中)ー1「地図を渡したでしょ。」

夢1「砂漠と由美ちゃん」 場面が変わった。 夢2「20人の生徒」

第8章、寮(3階、1番奥の部屋、寝室)ー8     「ベッドがないわ。」

寝室  テーブルと椅子のある部屋から入って反時計回りに箪笥、クローゼット、大きな出窓、花瓶や時計がのった腰までの高さのあるキャビネット(食器棚)、出窓(最初の出窓より半分ぐらいの大きさ)、脱衣室につながっているドアがある。  寝室全体を見るとかなり広い。 (そのしわ寄せが、隣の5人部屋になったのだろうか?)  寝室に入ってみると、埃っぽく、白いペンキで塗られた箪笥やドレッサーの上、カーテンレールの上には埃がたまっているのが見える。  オフィーリアが 「ここ(キャビネッ

第8章、寮(3階、1番奥の部屋、和室)ー7  「みお、じゃなくて澪木ですわ、川の中で水先案内人の役目をしますのよ。」

座卓の跡    ザワザワとみんなが伸びをしたり話をしたりしている時に、トカレフたちが私の所に来て 「さっき、マーズ様が「座卓の跡がついてないから、あまり使われてない」って指摘されたって、どういう意味で言われたんですか?」 「あーじゃ座卓と座布団を、入って来た時と同じように置いてみて。」  トカレフたちは、使った後の食器が入った箱を畳の上に置き、座卓を柱に立てかけ、座布団は重ねて隅に置く。 「うん、あの(廊下側の)ドアからこの和室まで、何か気づくことはある?」  トカレフ

第2章ー地獄 2、「ドラゴンはここに置いていって」

 ドラゴンとの別れ (他は・・あっ、そうそう大事なことを忘れていた。) 「ドラゴンはここに置いていって。」 「えー!?」と部下たち全員  さすがの副隊長も「困ったぞ。」というように両眉を上げる。 「ドラゴンには、地獄に残った亡者たちを見張ってて欲しいの、誰もいなくなるし、いつごろ戻れるかわからないし・・・。」  部下たちには1体づつドラゴンがついていて、それで地獄をくまなく飛び回っている。でないと、7人でこの広い地獄を管理することなんて、できないのだ。  部下たちの背後に

第2章ー地獄 1、「天上に黒い穴が開いているんすけど、ブラックホールみたいな。」

部下たち   地獄に戻ると、私は副隊長に、他の部下たちを全員集めるよう指示を出した。  さっそく自分の部屋の大きな鏡の前に立ち、小刀を出して、鏡の中の自分の顔に突き立てる。 「ガァン!!」 大きな音がして鏡が、ガラガラと粉々に床に崩れ落ちた。    そこへ副隊長を先頭に部下たち全員が慌てて入ってきた。  割れた鏡に唖然としながらも 「亡者たちが、どんどんいなくなってます!! 」と言ってきたのはモモタ。  茶髪のショートヘアに黒目、服はカンフー映画に出てくるような、上が水