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小説『地獄の王』

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ホームページで公開しているSFファンタジー小説です。 ホラーやアクションも入っています。
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#ファンタジー

『はじめに』 と 『目次』

ご覧いただき、ありがとうございます。 小説についての注意事項などを記しました。 さらに、その下に読みたいページにすぐに移動できるように目次を設けています。 『はじめに』 1、この小説は、フィクションです。 2、この小説には、作者の意に反して(?)とてもたくさんの人や女神(神)とその部下(精霊)、鬼、ドラゴン、魔物などが登場します。また、史実や世間一般にいわれていることと異なる場合が所々あるかと思いますが、物語の設定上のこと、としてご了承ください。  わからなくなったら、こ

第11章、第二都市(寮、二人部屋)ー1「ライガの酒って・・・。」

虹池や並木道の様子  学校へ帰る途中、生徒や教師たちが歓声を上げ、虹池のそばに駆け寄り、水に手を浸したりしている。  虹池は穏やかに、水を満々と湛えている。  私はオフィーリアに 「水は溜まってた?」 「ええ、十分すぎるほど。昨日、澪ちゃんに下水道のイモ虫を退治してもらったおかげよ。」 と、満足そうに虹池に目を向ける。  その部下たちは誇らし気に、虹池とオフィーリアを見ている。  並木道に行くと、木々は枯れておらず(5章-1)、所々茶色い部分があるも、ほとんどフサフサ

第10章、第二都市(A地区)2ー「いつまで居るの?」

作戦会議 空は快晴、風はかすかに感じるぐらい。(サファロスが配慮してくれたのか?)  私は虹池(窪地)のほとりの崖の上から、A地区を見下ろす。  昨日と、まったく変わっていない。  その周りをキングやクリス、ルナの部下たち、第二都市の人たち、学校の生徒や教師たちが取り囲み、ある者は、崖の下で唸り声を上げて争っている亡者たちを見下ろし、ある者は私たちの方を見ている。  私は後ろを振り向くと、自分の半身ほどある刀を出し、地面に半円を描き 「これを崖だとしてもらって、タガメくん

第5章、第二都市3ー運動場「第二都市が普通に生活できるまで」

 体育館から出てきた都市の人たちの間を抜って、市長と校長先生らしき人が出てきた。その場にいる全員の目が二人に注目する。市長が前に進み出て 「ありがとうございました。」と頭を下げた。  私が軽く頭を下げると、その場に居る人たち全員が頭を下げる。市長は頭を上げ 「えっと、それでですね…えーと…その転入するというのはどういった…えーと…」  後ろの生徒たちからクスクスと笑い声が聞こえてくる。見かねた隣の校長先生らしき人が 「市長、ここからは私が…」 「あーそうですね、えっと…こちら

第4章、砂漠4ー(私だったら、そのお腹の中のモノがなにか、答えてあげられるよ。)

 私がメモを受け取るとサファロスが  「どうすんだよ?」  私は歩いてきた方向を指差し 「向こうに行くと、何があるの?」 「A地区。畑とか家畜を育てている。そこは獅子のようなゴリラのような体の大きいやつらがたくさん争ってて、住人達は洞窟に身を隠している。」 「わかった、じゃ、そのまま向こうへ」と私。 「そこへは、どれくらいありますの?」とオフィーリアが立ち上がり、服についた土を払い落とす。 「ん〜半日、かな?」とサファロスはアルテミスを見  アルテミスは、その方向を指差し 「

第4章、砂漠3ー「お互い部下を持つと、 大変よね。」

 私は体を後ろに倒し仰向けになり、きらめく銀河の星空を眺める(人の一生で終わるはずが長いこと、この星で止まっている。)と思うと同時に『帰りたい』という郷愁のような感情が湧いてきた。しばらくじっと星空を眺めていると、いつしか星空がアルテミスの目になっていた。   アルテミスが私の目を覗き込み 「お互い部下を持つと、大変よね。」 「犯人、わかったんだ。」 「ええ今は泳がせているの、ハップルとのつながりを見極めるために…会いたかったわ。」 「私も。」といって体を起こし「子供が行方不

第4章、砂漠2ー「そいつらは私や部下達を自分達と同じようにしたいと狙ってて…その方が私や部下達をコントロールできるから」

 さっそく私が 「じゃあね…マーズちゃんの部下って何人いるの?」  マーズちゃんは体を後ろに倒すと、両手を後ろの地面につけて体をそらし 「俺か? 俺は、1、2、3…4人だな、1番目が長い黒髪のトカレフ、それから二丁拳銃使いのリボルバーに、体の大きいランチャー、爆弾使いのニッカ、全部女だ。」 「みんな銃だけ? 刀は使わないの?」と私 「うん…第二都市のやつら、学校に全員集まってるな…追い詰められてんのかな?」とマーズちゃんがつぶやく。 「んー”追い詰められてる”ともいえるし、”

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第4章、砂漠1ー「俺のステージに来てたぜ、2、3ヶ月前だったかな」

 私の前には、真っ暗な闇が広がっている。(ここまで来れば、大丈夫かな?)  マーズちゃんが、ジャンパーの左右のポケットから先ほどたき火に使っていた木を5本取り出し火をつけて 「ほらよ。」  と私を含めた4人の女神に1本ずつ手渡した。  オフィーリアが、松明を手に私の横でうろうろしながら 「どこかに窪地はないかしら? 水を入れてお湯になったら、お風呂に入れますでしょ。」 「どうやって沸かすんだよ。」とマーズちゃん 「いいよ、明日には着かないと、みんなもたない。」と私はフードを

第3章、村と居酒屋3ー「私の子供! 子供を知りませんか?」

 フローラがウェイトレスのお姉さんを紹介する。  茶色い髪を後ろで一つにくくり、Tシャツにズボン、水色のエプロンを着た、見た目30代〜40代の女性が楽しそうな表情で 「ウェイトレス兼コックのケイトよ、みんなオムライス食べる?」  私達3人がうなづいたので、ケイトさんは調理場へと引っ込んだ。  男達が来て「みんな、お酒は、飲むかな?」 「ケイト! ジョッキ4杯、持ってきて!」  と調理場に向かって叫ぶ。  ケイトさんは調理場から顔を出すとにっこり笑ってうなづき、すぐに引っ込ん

第3章、村と居酒屋2ー「あの子たちを頼むわね。」

学校のパンフレットを見て  マーズちゃんが 「サファロスだったら、さっき、あの辺で会ったぜ。ていうか、向こうは気づかずに通り過ぎたけど・・バッカスのやつ、酒の出る鏡でも作ったのか?」 「たぶん・・・。」と私 「おそらく、お部屋で、毎日お酒を飲むつもりですわ。生徒たちは、みんな1つの建物で暮らしておりますの、ごらんになります?」  オフィーリアは、学校のパンフレットを私達の前に差し出した。  私はそれを受け取り、 「へえー。」と言いながらパンフレットを広げ、覗き込むマーズ

第1章ー王宮5 「相手は弱った心につけこむから、自分をしっかり持つのが一番大事、どんなに強い武器を持っていたとしても、心が折れてしまえばだめだから。

なぜ、第二都市に?   アルテミスが 「盗まれた鏡でハップルが初めに襲うとしたら、私たちがあまり関わっていない第二都市ではないか、ということでいいのかしら?」  市長さんが 「確かに、我が都市には神は住んでおりませんが、私が出てくる時は、特に変わったことはございませんでしたが・・・」 「(やっぱり・・でも・・何か気にかかる。)じゃ、短い間だけで、何もなかったら帰るんで・・・」  市長さんは、しぶしぶ承諾し、 「では、転入届は、えー」 「キング、転入届。」と、私は手を差し出

第1章-王宮3(ほんとうに・・・・・何もないの?)

 前回は、私の前のテーブルの右側(キングから見て左側)に座っている 女神とその1番目の部下たちを紹介しました。  今回は、テーブルの反対側に座っている女神たちとその1番目の部下たちを紹介しようと思っていたら・・・  その反対側の市長さんの手前(キングから見て右側、私から見て1番奥)に座っている、太陽の女神ホルスが不機嫌そうに 「第二都市が先じゃありませんこと? 早くお帰りに、なりたいでしょうし、」 と軽蔑するような横目でキングを見る。 (あーあ、呼び付けされて(前回参照

第1章-王宮2 「特に変わりありません。」

 今から13人の女神たちと、その右側後方に座っている1番目の部下たちを紹介する。  どの部下たちも賢く、常に自分の女神に気を配っている。その点ではとても頼もしい存在である。 月の女神ルナ と 1番目の部下 アーサー  キングの隣、左側に座っているのが月の女神ルナ。   長い床までつきそうな程のまっすぐな銀色の髪に、夜の闇のような暗紫色の目、月の光のように冷ややかな白い肌。唇は控えめに紅をさし、穏やかそうな表情で微笑をたたえている。  頭の周囲に1本の金色の細い鎖が巻かれ

第1章、王宮1ー 「朝霞(あさがすみ)をイメージしております。」

  プロローグ  悪いことは重なるものだ。  いいことも同じように重なるのだけど、嬉しいことは何回でも起きて欲しいと思うし苦にならない。  しかし、悪いことは「もうこれで終わりにしたい」と思うし、場合によっては、周りに影響することもあり大変だ。  自分自身が呼び込むということもあるのだけど・・ 定例会議   その日私は、月1回行われる王宮での定例会議に出席していた。  私の目の前には、木でできた大きな楕円形のテーブルがあり、その向こうには、バタークッキーやたっぷりの生クリ