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心配され続けても、心配していたかった私

お線香の煙をボーッと眺めてると
体の力が抜けて、リセットされる

煙がのぼっていくのが
ハナコの顔にみえたり
シッポを振っているようにみえたり

1本のお線香で満足できる時もあるけど
数本続けて焚いている時もある

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本来の使い方とは違うかもだけど
お線香を色々集めては、香りも楽しみの一つに

今のお気に入りの香りは
「朝のアールグレイティーの香り」
試しにと買ってみたんだけど
とても気持ちがスッキリする

科学的な香りのするものは頭が痛くなることもある
かといって、お線香といえば定番の白檀の香りは苦手
甘くない紅茶の香りが
今の私にはとても合っているらしい



自分なりに、リラックスできる方法を模索中
今までのようにハナコが担当していたところを
他のことで補えないか

そんな私を周囲は心配してくれる

大丈夫?
ご飯食べてる?
ちゃんと寝れてる?
… 生きてる? とまで確認される


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ハナコが具合悪い時も同じ言葉をもらっていた

ありがたいけど、私はハナコが心配で
ハナコが楽になることなら何でもしたかった
私自身は寝なくても、食べなくても
そんなこと後回しでよかった

やりたいことは ただ一つ
 苦しみを和らげること
 少しでも体力つけるために、食べさせること
 薬をのませること
 寒くないように
 楽な呼吸ができるように
 変化を見逃さず、何かあれば時間と症状をメモする

私はそれがやりたかった
やってあげたかった
だから、自分のことは後でよかった
しなくちゃならないのは、ハナコのことだった

だけど、周囲は私を心配する
根を詰めすぎだと
倒れたらハナコも悲しむと


今になって思う
周囲が心配してくれていたことも分かる
私だって、そんな人がいたら同じことを言うだろう

あの時は、ハナコが病気だと分かった後は
自分の寿命を分けてあげたい
病や痛みをもらってあげたい
そう思って、自分にできることを必死に絞り出して
なんの足しにもならなかったかもしれないこと
やりたかった
やらなかったら、気が狂ってしまいそうだった

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最期に
「もう頑張らなくていいよ」
って伝えるまで

私は ハナコに生き続けてほしかった
だから、そのためにできることを探し求めてた


私はハナコが心配でたまらなくて

その私の様子が周囲には心配でたまらなかった

「力になりたくても、どうしていいか
 何が必要で、どうしたら助けになるか
 分からなかった」

兄弟がポツンという
そう思ってもらえる人がいることは幸せだな


私のハナコへの心配は
突風のように数日であっという間に過ぎ去っていった

母の時のように 何年も続くことはなかった

でも、どちらに対しても同じくらい心配し
動き回った

そして、どっちの場合も
私は周囲に心配され続けてきた


心配されることって
ありがたいね
気にしてくれるって
うれしいね
1人じゃないんだって思えるもの

母はよく
「もう少しだから」
「申し訳ない」
「ありがたい」
そんな言葉を繰り返しいっていた

ハナコは言葉はしゃべれないけど
同じように思ってくれていたかな
心配したこと
少しでも何かの足しになったかな


心配 = 心を悩ますこと。気にかけて面倒をみること。

心(こころ)を 配(くば)る
分解してみると、いい言葉だね

ハナコには
たくさんの心を くばってもらったなー

そっかたくさん心配かけたってことか
ごめんよー ハナコ


ハナコを心配し続けた私は
周りから多くの心配をかけ、案じてもらっている

今頃だけど
改めて ありがとう

こんな私に心を配ってくれる人たちに
お空のハナコに
隣のヒナコに
天国の母に
ありがとう

これからは、私が心を配っていきたいな


また紅茶の香りのお線香の煙が恋しくなった
ありがとう

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ー参考ー

優しい時間 朝のアールグレイティーの香り(日本香堂
ろうず (鳩居堂)

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