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【記者コラム】リトリートの島

11月8日に新潟県立海洋高校で開かれた、ジープ島開島者の吉田宏司(新潟県上越市出身)さんの講演会を取材した。

ジープ島とは、赤道直下の常夏の島でフィリピンの東、パプアニューギニアの北に位置し、ミクロネシア連邦という国に属する。ミクロは小さい、ネシアは島々という意味。

徒歩3分で1周できてしまうくらいの小さな島で、野球の内野の広さに近いという。そこにヤシの木と、2つのコテージがある。

2度ジープ島に旅行に行った男性は、「ジープ島はあえて不便を楽しむ島です。水道もない、電気は自家発電、シャワーや洗濯は雨水を使います。食事はカレーやバーベキューですが、ジープ島で食べるとなんでも美味しいですね」と語る。

明らかに、ハワイやグアムのリゾートホテルとは違う。では、ジープ島に何を求めていくのか。

前出の男性は「もちろん、大自然の景色が素晴らしいですが、私はジープ島はリトリートの島と言えると思います。今、リトリートは女性の間で流行っていますが、ジープ島に行くと、様々な『気付き』があると思います」とも話す。

リトリートとは、数日間住み慣れた土地を離れて、仕事や人間関係で疲れた心や体を癒す過ごし方のことで、観光が目的の旅行とは違い、日常を忘れてリフレッシュすることを目的とするものだ。

男性からは「梅川さんもジープ島に行けば、また違った文章が書けるかもしれませんよ」とも言われた。

最後にジープ島開島者の吉田さんの言葉を紹介する。

「人間は何を求めているか。それは喜びです。では人生を喜びを持って有意義に生きるにはどうしたらいいのか。それは夢の実現です。そのためには、自然界に無駄なものがないように、支え合うという為に生きる精神に基づいて、人や自然のために尽くしていけば、夢に近づくということになります。なぜなら、無償で尽くしていけば、いずれ自分の周りに目に見えない受け皿がたくさんできて、その上に多くの善なるものが乗っかってくるからです」

「為に生きる精神」は、同じ上越市出身の上杉謙信の義の心に通じるものがある。株やFXで目先の利益を追う人も多い中、「情けは人のためならず」ではないが、いずれ自分に帰ってくる。

少し長いスパンで物事を考えていきたいと思う師走のはじめであった。

(編集部・梅川康輝)


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