w.o.d.『Live in Tokyo 2022』レビュー

w.o.d.『Live in Tokyo 2022』

・バンドはライブが至極

 全国ワンマンツアー"バック・トゥー・ザ・フューチャーIV"のファイナル公演である初のZepp単独公演が音源化された、思わずイアホンの音量を上げたくなる1枚。
ライブアルバムは、「録音された音源が楽曲の本来の姿であり、
ライブはその再現である」という現代の価値観に、
ライブが音源に先行している点で逆行しているように思われる。
白紙に墨を垂らすように、ライブというものは言わずもがな不可逆であり、生のものである。それらをパッケージングする行為は、w.o.d.が『感情』そしてまた今作において、一発録りのアナログテープでの録音にしたということと重なる。つまり、1度きりの緊張感や、セッションによって生まれる偶然の産物を重んじる元来の音楽の形の追求である。
 4枚目のアルバム『感情』を中心に、「みみなり」や「1994」といった旧譜の曲をバランスよく混じえたセットリストは、現在のw.o.d.のライブバンドとしての力強さを存分に表現しており、ライブを締めくくるミドルテンポの楽曲である「Sunflower」は包み込むような優しさを感じる。
1時間12分とライブにしては決して長いとは言えない時間であるが、
一瞬たりとも気を抜いている時間は無い。
印象的なリフを奏でるギター、分厚い爆音を鳴らすベース、
タイトなドラム、各パートが主張し合い混ざり合う
最高のスリーピースバンドのライブが、会場の熱量そのままに詰まっている。


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