マカロニえんぴつ『リンジュー・ラヴ』レビュー

・悲しみを受け入れるロック


ドラマ『100万回 言えばよかった』主題歌であり、3月8日にリリースされるEP「wheel of life」からの先行配信曲。

ドラムとベースがシンプルなリズムを刻み、キーボードとギターがどこか悲しげなフレーズを奏でるイントロ。そこから歌い出しに入る瞬間に鳴らされるコード弾きでの歪んだギターは、ドラムの派手なフィルインもなしに歌い出す本曲においてカチンコを鳴らし、物語を始めるかのようである。

曲の始まりで「あなたの背中に手を振ってた」わたしは、「どうかこのまま、お願い、振り返らないで」と願ってはいるものの、心にはまだ最初の愛が棘のようにささったままであり、最後の夜にならないことを本当は願っているようである。

その一方で、曲の終わりでは「どうかこのまま、お願い、振り返らないで」と願いながら、「あなたの背中に手を振ってた」と恋の終わりをなんとか受け入れようとしている。
恋の終わりを、受け入れようとして受け入れられない状態から、完全に受け入れた状態へと変化したことを、歌詞の順番を入れ替えることによって描いている。

サビ前のラップパートは『レモンパイ』や『カーペット夜想曲』のラップパートを想起させ、ビブラスラップの音が鳴り、「パラッパラ」という擬音で歌うパートは、悲しげなメロディにもかかわらずどこか明るさすら感じさせる。

タイトルの「リンジュー」は、
1つの恋が終わった、死んだという「臨終」なのかもしれないし、私がすでに亡くなってしまったのかもしれないし、死ぬまで一緒にいたかった(けどいれなかった)恋なのかもしれないが、
彼らが歌っているのはいつだって、悲しさを明るく受け入れることであり、フォークでもユーロビートでもなく「僕のロック」だ。
マカロニえんぴつの集大成的な一曲がまた一つ
できたように思う。

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