【セミナー連動】電気自動車の普及と充電設備の課題とは? 鍵は「V2H」にある

2023年に実施し、ご好評いただきました「新潟市エコハウスセミナー」ですが、2024年も「電気自動車と住宅の未来」と「設計事務所から提案する断熱設計」のふたつのテーマで開催します。

そこで今回は、ひとつ目のテーマである「電気自動車と住宅の未来」に合わせ、国内の住宅と電気自動車事情についてまとめてみました。

記事後半では、新潟県の補助金や支援制度についても紹介しています。すでにセミナー申し込み済の方はもちろん、検討中の方もぜひ読んでみてください。

電気自動車と住宅はこれからどうなる?

まずは、日本国内の自動車産業を取り巻く環境の変化から見ていきましょう。

2020年、日本政府は「カーボンニュートラル宣言」を発表し、自動車業界を中心に大きな注目を集めました。ガソリン車やディーゼル車といった化石燃料エンジン自動車の廃止に関する内容が含まれており、将来的に該当する自動車の新車販売をすべて電気自動車にするという目標が掲載されていたからです。

翌年の2021年1月には、施政方針演説で「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と発表され、化石燃料エンジン自動車の新車販売終了が目標に盛り込まれました。

また、経済産業省が公開している「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」には、「2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す」と記載されており、事実上、2050年には化石燃料エンジン自動車の使用も制限、または完全に禁止されると見られています。

電気自動車の普及と「充電設備」の課題

2035年まであと約10年ほどと考えると、これから日本国内でも、電気自動車への移行が活発になるのではないかと予想されます。

電気自動車は自宅と出先での充電インフラが必要

そこで問題となるのが「インフラ」です。自動車は移動手段であるため、自宅等での普通充電と、目的地や移動経路での急速充電を組み合わせた「多角的な充電インフラの整備」が求められています。

家庭に設置される普通充電器の充電スピードは、数時間~半日かかる一方、街の充電ポイントにある急速充電器は、より短時間で充電が可能です。その反面、設置費用は安くても数百万円以上に上るほか、電気料金の基本料やメンテナンス費用も高額となってしまいます。

それでも急速充電設備の普及は少しずつ進んできましたが、電気自動車の普及がまだまだ進んでいない日本では、維持費用だけがかさむため、設置ペースが頭打ちになってしまっているのが現状です。

国内の電気自動車への移行はこれから

つぎの画像は、2022年の日本と世界の電気自動車の新車販売率です。

最も高かった国はノルウェーで79.3ポイント、次いでオランダの32.1ポイント、中国の19.9ポイントと続きます。日本は1.4ポイントです。

他国と比較すると、とても低いように感じますが、経済産業省が公開した、「令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業次世代自動車普及動向の調査」によると、日本の新車販売台数はここ10年間、毎年約500万台で横ばいを続けています。

同資料のにある、自動車メーカーに行った電気自動車等の普及に関する調査では、トヨタ、日産、ホンダ、スズキといった主要メーカーが、2025年〜2030年より、電気自動車の何らかの量的拡大を図るとしてます。

政府や自動車メーカーの動き、ここ10年の新車販売台数の推移、電気自動車の販売率、一般家庭の自動車乗り換えペースなど、さまざまな要因を考慮すると、電気自動車への大規模な転換は、いつきてもおかしくありません。

一般家庭の充電は「V2H」が鍵

一般家庭への電気自動車普及が加速したとき、私たち住宅関連事業者にとって注目すべきなのが、今回のセミナーのテーマでもある、「V2H(Vehicle to Home)」です。

V2Hとは、「車から家へ」を意味する言葉で、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えた電気を生活用として併用できるシステムです。

詳しくはセミナーで紹介しますが、車に搭載しているバッテリーを災害時に活用できたり、日常生活の電気料金の節約に役立てたりもできます。

自動車メーカーからも注目されており、トヨタのMIRAIやプリウスPHV、UX300e、日産のリーフやサクラ、アリア、ホンダのHonda など、V2Hに対応したモデルもすでに多くリリースされています。

新潟県の次世代自動車普及への取り組み

最後に、新潟県の電気自動車普及促進に関する取り組みを見ていきましょう。各種事業者や個人に対し、補助金などの支援を実施しています。

【次世代自動車振興センター クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金】
一般社団法人次世代自動車振興センターを通じ、電気自動車(EV)、小型・軽電気自動車(小型・軽EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)などの購入費を一部負担。対象は対象車を購入する個人、法人、地方公共団体等。

【次世代自動車振興センター 充電設備・V2H充放電設備・外部給電補助金】※現在は交付申請受付停止中
一般社団法人次世代自動車振興センターを通じ、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車に充電するための設備の購入費及び工事費の一部を負担。対象は 対象設備を設置する法人、地方公共団体等。

住宅と電気自動車の最前線を知ろう

新潟市エコハウスセミナーに合わせ、「電気自動車と住宅はこれからどうなる?」というテーマについて紹介しました。こうしてまとめてみると、まだまだ知らないことばかりです。

先んじて変化の波が訪れていた自動車業界では、「100年に1度の大転換期」とも言われており、さまざまな分野で新しい挑戦が始まっています。

セミナーでは、V2Hをはじめ、住宅と電気自動車の最前線についてお話します。ぜひ、奮ってご参加ください!


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