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【福祉施設の表現活動】しろやま

新潟市にある就労支援B型作業所『しろやま』と、そこに通う三村さん、湯田さん、伴さん、山口さんについて紹介します。

施設での表現活動について

 しろやまでは、シフォンケーキやそば殻の枕などオリジナル商品の製造・販売の他、部品加工や袋詰めの作業などを行っており、商品はときどきバザーにも出店して販売しています。そういったメインの作業が落ち着いて時間が空いたときに創作活動を行っていて、それぞれ好きな創作活動の他、商品を入れるバッグに使う絵を描いていることが多いそうです。
 これまで活動をしていく中で、描いた絵のTシャツが全国大会で入賞して表彰式に行った利用者さんが、その後その話を嬉しそうに何度もしていたことがありました。それを見て職員さんは「このような活動は日ごろの仕事とは違う体験でありモチベーションや喜びになる」と思ったそうです。予算や時間に限りがある中で、節約しながら画材を買ったり担当の職員さんを決めて動いたりして工夫しながら表現活動を続けていると言います。

三村雅之さん

 高校を卒業してすぐ「しろやま」に来て、20年以上になる三村雅之さんは、小さな四角いマスをたくさん描いて色分けする絵をよく描いています。マスの中に1,2,3……と数字を書くことも多く、これは「どこまで描けたか」の目印という意味もあるそうです。本人に理由を聞くと「好みというか、これしかできない」と笑いながら答えてくれました。
 この絵の描き方について職員の小黒さんは、もともと持っている彼の几帳面さ、細かさが表れているのではないか、と話します。別の職員の青木さんは、マス目の絵の他にときどき「バス停」や「ビルの絵・文字」を描くのは、昔バス通勤していた頃の記憶を鮮明に覚えているんじゃないか、と予想していました。毎日コツコツ、好きなものや覚えているものを描いていく三村さんの絵は、数年前にグッズ化されるようにもなりました。

三村さん

湯田聖徳さん

「運動会」

躍動感あふれる、コミカルな表情と仕草の人たちを描くのは1996年生まれの湯田さん。人物の輪郭は黒い線だけでなく背景色でも縁どられていて、独特な立体感があります。本人に絵のことをたずねると、「話すの、めんどくさい。工夫したところ、特にない」と言いながらも、いくつかの質問に答えてくれました。

「背景の色はどのように選んでいるんですか?」という質問には「なんとなく」。「運動会の絵のハートマークは、ちょっとした恋模様みたいな感じですか?」という質問には「うん」と答えてくれました。どこかストーリー性も感じる湯田さんの愉快な絵は、新潟市の展覧会にも選出されています。

伴修二郎さん、山口宏明さん

お花や花火などのカラフルな絵を描く伴さんは42歳。ときどき、絵と紙を重ねる貼り絵も行います。絵はしろやまに来てから描くようになったそうです。

 職員の小黒さんはアールブリュット公募展の例を見て、日常の行動も作品になるんだ、と気がつき、とある利用者さんの「よくやるポーズ」を撮影して出品しました、それが山口宏明さん、通称「ひろくん」です。頭に手をあてる、腰に手をあてる、荷物を持つような仕草を、職員さんへの挨拶のようによくやっています。写真を撮られるのも大好きで、カメラを向けたらすぐにピース。バザーの出展の際にはアイドル的存在の売り子として活躍しているそうです。

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しろやまでは施設内のいくつかの部屋を見せてもらいましたが、どの部屋もにぎやかで楽しそうな雰囲気。やらなければならない仕事にも取り組みながら、工夫してそれぞれの表現を活かそうとする姿勢が見えました。

就労継続支援B型「しろやま」
所在地:新潟県新潟市中央区稲荷町3490
詳細(facebook):https://www.facebook.com/shiroyama.2244438




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