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苦学生の大誤算は私を強くしたか

心を鍛えるという本の、第1章に【10代のうちに経験すべき「大誤算」】という一文があったのが目についた。

わたしが10代で経験した大誤算はわたしの心を強くしたかどうかについて考えたい。

ちなみにこの本は読んでいない。すみません。

学費・家賃・生活費などをすべて自分で出す約束で大学進学

うちは貧乏な家庭で、両親はわたしの大学進学には反対だった。

通っていた高校は進学校で、入学したときから大学進学は当然と考えていた私にとって、両親のその考えを知ったときは本当に驚いた。

この時点で軽く誤算だったわけだが、仕方ないので大学は自分のお金で、県外の国公立大に行くことにした。

家から通える範囲の大学に進学していたらもう少しは楽だったのかもしれないが、県外の大学に行くことはどうしても譲れなかった。

昔から早く家を出たい願望が強く、いじめられて育った地元からも出来れば離れてしまいたかったのだ。

もちろん私立のすべり止めも受験しなかった。

両親は入学金と引っ越しの費用を出してくれて、奨学金も借りることができ、無事大学に入学することが出来たのだが、ここからが大変だった。

家の経済力のなさを実感した18歳

高校生の時にアルバイトで貯めたお金は、引越しして早々に交通費や新生活や入学のための準備に消えた。

生きることって思ったよりお金がかかる。

これも小さな誤算だった。

周りの友人と比べて、家の経済力のなさを実感することも多かった。

留学に行くお金なんてあるわけがなく、資格取得の勉強に使う時間があったらバイトをしたかったし、友達との飲みや旅行の誘いも何度も断った。

教科書やフィールドワークのための交通費も私にとっては大きな額だ。

個人的な話しではあるが、ダンスをしていたのでショーの出演料や衣装代を捻出するのも、一苦労だった。

ひとつ、忘れられない出来事がある。

ある友達が、半年で30万貯めて海外旅行に行くという話をしていた。

周りの友人たちも、彼女のことを褒め、すごいね!と言っていたが、私の心はもやもやしていた。

だって私も同じように半年で30万貯めて、そのお金は全部学費として払っていたから。

偶然にもわたしの周りには、学費・家賃・生活費を自分で払っている学生はいなくて、わたしはこの悔しさを誰にも言わずに大学生活を送った。

自分のミスで招いた大誤算で大ピンチな19歳

無事2年生に進級できたと思った矢先、奨学金の更新の手続きに不備があり、奨学金の支給がストップ

これは大誤算。パニック。

両親に助けを求めたが援助いただけるわけもなく、途方に暮れた。

夏にはまた授業料の支払期限が来てしまう。

なんとか市が運営している奨学金を後期から借りることに成功したものの、問題は前期をどう乗り切るか。

それまで勤めていたアパレル販売のアルバイトに加えて、深夜もバイトをするようになった。

時給2000円以上するようなハードなバイトにも手を出して、あまりの過酷さに泣いたこともあった。

毎日たまごかけご飯を食べて、ガスが止まれば電熱器でお湯を沸かして髪を洗ったこともある。

本当に惨めだったし、自分の確認不足でこんなことになってしまって本当に悔しかった。

めんどくさがりで、ずぼらな性格もほどほどにしなければと痛感した

大学生活を経てわたしは強くなったのか

対人に関するメンタルは正直よわよわ。

でも変わったこともいくつかある。

まず、周りの人に、"動じないよね"と言われることはよくある。

仕事で思うようにいかなかったりとか、ちょっとした怪我とか、旅行先のトラブルとか、小さなことだけどあまり慌てないかもしれない。

次に、一人でも生きていける自信はついた。

全然知らない土地に一人投げ出されてもきっとなんとかなると漠然と思っている。

最後に、他人の見えない背景を考えるようになった。

わたしが大学時代経験した苦労話は、当然わたしの友達や彼氏はほとんど知らないんだろうけど、そういう人っていっぱいいるのかもと思う。

苦手な人に対しても、もしかしたら他人の知らない苦労や葛藤があるのかも、と思うとその人に興味が湧くこともある。

そんな私も今ではちゃんと(?)社会人になって、それなりに毎月一定額を稼いでいる。

途中大誤算があったり、頼る人がいなくてもう駄目だって思っていても、もう少し頑張ればなんとかなることもたくさんあるってこと、勉強もスポーツもあまり得意ではなくても、地方の貧困家庭から脱出できることを実現したうえで発信できたらいいなと思う。


社会人になって辛いことがあると、学生時代の苦労を思い出す。

そんなとき、わたしを奮い立たせた言葉を紹介する。

「泣きながらご飯を食べたことのある人は、生きていけます」

ドラマ『カルテット』の主人公の言葉だ。

最初にこの言葉を聞いた時の衝撃ときたら…。めっちゃ泣いた。

この言葉を忘れなければ、多分この先何があってもなんとかなる。知らんけど。

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