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中小企業が賃上げに今すぐ取り組むべき理由と賃上げ施策

昨今、賃上げというワードがニュースを騒がせており、様々な企業が対応を迫られております。

物価高の影響、労働人口減少なども踏まえると賃上げは企業存続において非常に重要な要素であり、頭の痛い問題でもあります。

今すぐに賃上げを行うべき理由と3つの施策についてご紹介してまいります。


今、賃上げすべき理由

採用難易度の高騰で人手不足倒産が身近になる未来


中小・零細企業では慢性的な人手不足が当たり前の状態に

2010年代ごろから採用のノウハウが急激に拡大し、企業の採用力に差がつき始め中小企業・零細企業では慢性的な人手不足であることが多くなりました。

事実として人手不足を起因とした倒産が過去最高の件数(2023年度313件)を記録しており、労働需給シミュレーションから見ても零細企業から中小企業へ影響が拡大していくことは確実です。

5年後、10年後の組織をイメージするためには社員が会社組織に残る理由を作り、会社組織から出る理由をつぶしていく(もしくは影響を小さくする)必要があります。

過去最大の賃上げブームと政府の施策

様々な情報媒体で「賃上げ」や「物価高」というワードが取り上げられ政府からの税制優遇公正取引員会からの指針などの後押しもあり、賃上げを目的とした「価格交渉」や「サービス改革」などが実施しやすい情勢になっています。

賃上げを行う時期としては最適の時期であり、逆に言えば機を逃すと競争力は低下し、市場性の高い従業員の離職が止まらなくなるなど取り返しのつかないことになる可能性があります。

人事の力が企業競争力に直結する

人材と情報の流動性が高くなり、事業設立に莫大なお金のかかる製造業以外では採用と組織を維持する戦略が企業の競争力に直結しています。

離職のリスクを低減するためには一定の賃上げが必要であり、それを毎年行っていくためには根拠のある賃上げ施策が必要になります。

賃上げ環境を理解する

市場の賃上げ動向

2024年、平均賃上げ率は5.25%と高水準を維持しており、中小企業(従業員数300名未満)の賃上げ率も4.50%と、2013年以降で最も高い数値を記録しました。

目に見える賃上げにおいてもこれほどの数字をたたき出していますが福利厚生の拡充などによる目に見えない”実質的な賃上げ”を行っている企業も多数あります。

そういった面からも人材確保の面で競争力に差がつき始めている現状です。

実際に行われている賃上げに向けた取り組みなどをご紹介していきます。

賃上げの具体的な手段

借上げ社宅制度の導入(難易度:中/初期投資:中/ランニングコスト:低)

人事制度による借り上げ社宅制度の導入

会社・社員ともに大きくインパクトしてくるのが借り上げ社宅制度の導入です。

現在、社員名義になっている賃貸契約を会社名義に変更し、会社が家主に家賃を支払います。

そのうち約50%を給与から天引きし、残りの50%を会社経費(現物支給)として計上することで社員の実質の可処分所得を増やし会社の社会保険料負担を軽減することができます。

導入に当たっては制度設計や手続等の手間が発生しますが通常の賃上げと違い、社会保険料の負担が上がらないことが大きなメリットです。

「月給40万円・社宅制度なし」と
「月給35万円・家賃10万(内5万円会社負担)」を比べた際にざっくりとした計算ですが単月で会社は約8,000円、個人では13,000円程度の経済メリットがあります。

初期投資(制度設計費用・借上げ費用・人件費)としては一定の資金が必要になりますが1年以内に回収が期待できるためリスクもほとんどありません。


選択式福利厚生の導入(難易度:低/初期投資:低/コスト:中)


社員の生活に合わせた福利厚生サービスの利用が可能

カフェテリアプランやレストランチケットなどの個人の生活に応じて一定の可変性がある福利厚生の導入も効果的といえます。

ジムの優待券などの固定の福利厚生では個人の生活スタイルによって使う・使わないなどの好みが発生しますが選択式であればそういった問題も発生しません。

生活必需に近い福利厚生であれば実質的な賃上げに近い効果が期待できます。

導入難易度やコストの面でも大きな金額ではありませんのでリスクも大きくありません。

会社の収益改善計画を実行し、成果を賃上げと連動させる(難易度:高/初期投資:高/コスト:高)


賃上げを目的としたプロジェクトの立ち上げ

現在の事業を分析し、持続可能な収益改善策を計画して実行することで賃上げの原資確保したうえで貢献を評価して昇給に反映させるイメージです。

シンプルに顧客へ「物価高の影響」「人材確保」などの理由で単金交渉をすることもありでしょう。

ただ、顧客担当社のみならずその上司や経営層を納得させるためにはもう少し材料が必要かもしれません。

それよりも一本やりで臨んで不首尾に終わった際の手づまりは再起に時間がかかってしまうため綿密に戦略を立てることをお勧めします。

まずはSWOT分析や4C分析等のフレームワークで自社を取り巻く環境を整理し既存顧客、サービス提供フローなどの分析を行い、顧客に対して新たな価値提供ができる部分を作りましょう。

そうすることで単純な交渉ではなく価値が高まったことによる交渉となり、顧客担当者やその上司も納得しやすいものになります。

当然、簡単なものではなく社内のマンパワーを大きく消費してしまううえにオペレーションの変更は既存社員にストレスを与えてしまうことでもあります。

企業競争力を高めるという意味では本質的な対処策で理想の手段であると同時にリスクの付きまとう手段であるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

賃上げに取り組む時期は今が最適であるということ、3つの手段が考えられることが伝わっていれば幸いです。

ご提案した3つの手段についてはお手伝いすることができますのでお気軽にDM等でご連絡ください。

ありがとうございました。

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