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学習塾・オンラインレッスンのコンプライアンス

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。

オンラインで教育関連の事業をしようとする時、著作権問題に直面します。
そこで、たまたま図書館で手に取ったのですが、法律関連の本を読んでみました。
2017年飯野たから著、紺野礼央監修『撮ってはいけない』自由国民社

結論から言うと、教育関係者は甘い、ということです。もしくは、ズルいということです。教材を複製・改変して使用することは、他人の権利を侵害している、犯罪行為であるということです。

学習塾やオンライン教室は、教育分野であるとはいえ、営利目的です。文科省の定める学校が非営利であるのとは異なるわけです。
すると、

許可なくコピーすることは、「私的使用目的(著作権法30条1項)や「教育関係(同法35条)」に該当しない。

ということです。

また、許可なく改変して教材として使用したり、配信することは、著作権者の許可が必要となる、著作権の侵害になる。

改変も著作権(翻案権)の侵害となる。

ということです。
(今、緊張しつつ、「主従関係が明確となる」ように引用しました…。)

大手の学習塾ならば、自前の教材を持っているかもしれませんが、検定試験著者たちを丸抱えするほどのことなのです。
で、オンラインでのテキスト使用に関しては、SARTRASにも問い合わせてみましたが、SARTRASの加盟は非営利の学校に限定されているとのことなので、個々の出版社なり著作者に許諾を得る必要があり、とうてい可能性はなさそうです。

非営利の学校以外の場では、複製も改変も違法。
著作権侵害は犯罪であり、被害者である権利者が告訴することにより侵害者を処罰してもらうことができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。(公益社団法人著作権情報センターHPより)

教育者ならば、違法であることとは訣別すべきでしょう。(と、悲壮な覚悟を強いられているところです…)
教師は世間知らず、常識知らず、甘いと言われるのは、こんなところかもしれません。


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