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逆境やコンプレックスを乗り越えるのに役に立ったこと

プロジェクトFでは、情熱を見つけるための質問として、次の問いがあげられていた。

①どんな逆境を経験しましたか?
②逆境を乗り越えるのに役にたったことは何ですか?
③コンプレックスによって成し遂げられたことは何ですか?
④あなたはどのように成長しましたか?
⑤没頭できることは何ですか?
⑥やり遂げた!と思えることは何ですか。
⑦今日が最後の日ならどんなことを伝えたいですか?

この年になると、逆境もたくさんあって全部書くことはできないが、
①②子ども頃のことを書こうかと思う。

①逆境
私の一番早い逆境は、左目が弱視で内斜視で生まれたことだ。2歳で手術を受けて幼稚園に入るころには赤い四角のメガネをかけ、幼稚園の帰りに視力開発の訓練に通っていた。赤ちゃんの頃の写真は両親が燃やしてしまったらしく、数枚ぐらいしか残っていない。

視力訓練のおかげで左目の視力は回復したが、両眼視はなかなかできるようにならず、そうこうしているうちに今度は右目が外斜視になってしまうようになった。ふと気を抜くと、右目がすうっと外に流れてしまうのだ。気を抜かず焦点を合わせて人の顔を見ているときはいいのだが。

子ども心に傷ついたのは、ねえ、と人に呼びかけた時、呼びかけられた人が周りを見るというしぐさだった。それで、あ、また目の焦点が合っていなかったのだ、と気づくのだ。焦点が合っている目=きれいな目、なので、焦点が合っていない自分の目=変な目、そういう公式がいつの間にか自分の中に植え付けられていたのだろう。

つまり、目は、私のコンプレックスだった。
思春期の写真は・・だから・・よく片目をつぶって写っていることが多い。

②逆境を乗り越えるうえで役に立ったことは~
 ・片目をつぶって写真をとること
 ・目のことは気にせずにふつうに付き合ってくれた友人たちの存在
 ・目もことは気にせず、結婚してくれた夫の存在
 ・眼科医さんのことば

 40代だったかと思う。生まれた子供が自分と同じ斜視ではなく、ほっとしたのもつかの間、眼科検診で間欠性斜視~ふとした拍子に焦点があわなくなる~だと聞かされてショックを受けていた時、お医者さんから、「女優さんでも斜視の人は多いですね~。ほら、〇〇さんも。きつい感じがしないので、魅力的に見えますね~」という言葉をかけてもらった。

 「斜視が魅力的」初めて聞くことばだった。なくそう、隠そうとしていた斜視を「魅力的」と言ってくれた人ははじめてだった。そういう見方もできるのかと、気持ちがずいぶん楽になった瞬間だった。

それからさらに年月が経った今でも、両眼視はできず、遠くを見るときは左目、近くを見るときは右目~というように、脳が自動的にどちらかの目から情報のみを使って処理している。気をぬいているときは、おそらく使っていない目は外を向いているのだろう(自分では見えないし、気づかないが)。 

そして、写真はあいかわらず苦手だ。レンズを見てください~といわれて~数秒でも❘~集中して両目の焦点をレンズに合わせている顔はいつもこわばっているからだ。だから、楽しい気分のまま、笑顔で写りたいときは、相変わらず、片目をつぶったり、わざと片目の前に手をかざしたりもする。

だけど、夫や娘や友人たちは別に気にしていないというし、「魅力的な目」という言葉をもらってからは、ちょっとした舞台で表現活動もできるようになった。それも私の個性のひとつと思えるようになったからかもしれない。



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