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静と動~渡辺貴裕さんと絹川ゆりさんの講座~Education Workshop2024~

この夏は、Education Workshop 2024 のたかさんこと、渡辺貴裕先生とゆりさんこと、絹川ゆりさんの講座に参加した。

お二人の講座はいつも学びが深まるのだけれども、学びの深まり方が対照的なので、今日は両者の講座の特徴について、参加者の立場からコメントしてみたいと思う。

まず、たかさんの講座の特徴は、ワークごとにリフレクションが入っていることにある。

たとえば、アイスブレイクでやる、2人組で1,2,3と言っていくゲーム。Aさんが1というと、Bさんが2,Aさんが3、Bさんが1,・・・という形。

次はそれに3の時、手をたたく、2の時、足をならすなど、ゲームの難易度が上がっていく。

ほかのワークショップでもよくなされる遊びだが、たかさんの場合は、この遊びの後「この単純な遊びをしながら、何か気づいたことはありますか?」「何がおもろしろいんでしょうか」(のような)問いが入る。問われると、人は考えはじめるもので、「失敗したときに笑えるのがいいです」「失敗した時の相手の表情がおもしろいです」「一人じゃ完結しないところがおもしろいです」などの意見が出る。

これは続けていると、できてしまって、面白さがなくなくんですよね~じゃあ、もっと面白くするやり方を二人で考えてみてください~という今度は、課題が出される。そして、やってみて、どう思ったのかという問いが出される

ワークをやる→問い→考える・いろんな意見を聞く→次の課題→ワーク→問い→考える・いろんな意見を聞く という流れだ。

そして、もう一つのたかさんの特徴は、反応の仕方にある。「すばらしい」とかあまり評価の言葉を挟まない。「なるほど~」とか発言者の言葉を繰り返すか、「どうして~なんですかね」「AとBはちがいますかね・・」という新たな問いが返して、皆がう~んと考えるという時間に突入するのだ。その時間、たかさんは沈黙している、そしてその沈黙の中でぽつりぽつりと参加者の中から意見が出てくるので、それを「なるほど」と聞いていくのだ。それが、たかさん流なのだと思う。

その点では対照的なのが、同じEducation Workshopのインプロコースのゆりさん(絹川ゆり)だ。

ゆりさんの場合は、息つく間もなく、2,3つぐらいのワークをダ~~~といれていき、クライマックスに盛り上がった時に、これはどういう効果があるのか、などの知見を紹介してくれる。

たとえば、3人組になってお昼何を食べたか1人の人が話してください。ほかの2人の人は、その人の話を聞きながら、その人がどんなジェスチャーを使っているのか見て、2つぐらい覚えてくださいという課題が出される。
一人が話したあと、ほかの2人はどんなジェスチャーが出たのか、話すと、ユリさんから、そのジェスチャーをつなげてくださいという指示が出て、各グループがそれぞれ発表していく。
 2人目の人が話すときは、3つのジェスチャー、3人目の人が話すときは4つ目のジェスチャーをつなげて発表するという形なのだが、2人目の人が話すときは、立って発表することになり、そこに音楽もつく。すると、まるでダンスをしているかのようになる。3人目の時はジェスチャーのスピードに変化をつけたり、ストップという声で止まったりするという指示も加えられたり、さらにめいめい好きなタイミングでストップしたり、早くしたりできるように選択の幅が広がっていく。さらに、一緒に動作する人数が増えていったりする。いろいろなグループの個々の動きを一度に見ていると、ほんとにブレイクダンスをしているような見ごたえがあるのだ。やっている本人は、人のジェスチャーを繰り返しているだけなのだが・・・
 何かすごいことが起こっている~~~!!と参加者が感動したりしているときに、ゆりさんの一言が入る。「ダンスっていうとハードルが高いけど、できるのよ。私たちいろいろ普段からジェスチャーを使っているのよ。それを組み合わせただけでダンスになるんです」と。
 そこで「はっ!」と気づく、しかも体感を伴いながら。これは頭で知識として得る学びではない、身体とともに全身で得られる学びなんだと思う。

そして、いっぷくしたら、また全然、別のワークの流れへとすぐに入っていく。

簡単にいうと、「あ!なるほど!」という瞬間が、◇◇◇!◇◇◇!◇◇◇!と、点、点、とあるのがゆりさんの講座。一方、◇問_問_ ◇問__問__ と、「__」は考えていたり、対話している時間が多いのがたかさんの講座の特徴といえるかもしれない。

ただ、どちらも「身体知」というか、それを重んじている点では共通している。どんな身体知なのか、それは次回の記事で書いていきたい。

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