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外国人だけの消防団
災害や火災の現場に駆けつけ、救助や消火にあたる消防団。地域防災の担い手の消防団員を、外国人が務めるケースが増えつつある。外国人が被災する事態にも、言語や生活習慣の違ちが》いを|踏まえながら適切に対応できると期待される。泉佐野市は今年度、府内で初めて、外国人「だけ」の分団を設置する方針だ。
泉佐野市が計画するのは「外国人消防分団(仮称)」。災害で交通機関がまひした場合などに、他の外国人住民や旅行者らの避難誘導や、避難所での通訳などを担うことが考えられている。
団員となる外国人は、日本語での日常会話を行え、日本人団員からの指示や命令を理解できることを必須とする。今後、市内の5分団との間で、外国人分団の運用について詳細を詰め、条例改正などの手続きを経て運用開始を目指す。
関西空港を抱える泉佐野市は、外国人就労者を積極的に受け入れる方針を掲げており、今年4月末時点の外国籍の市民は3028人と、人口の約3%を占める。さらに、コロナ禍が明けて市内に滞在する訪日外国人も増えたことも、外国人消防分団を導入するきっかけとなった。
消防団は、消防組織法に基づいて各市町村が設置する組織で、団員は非常勤特別職の地方公務員にあたる。団員の業務には、火災現場からの退去を命じたり、延焼を防ぐのに家屋を破壊したりする行為も含まれる。
しかし、これら「公権力」を行使する公務員には日本国籍が必要と、1953年に内閣法制局が見解を示している。団員についても同様と解釈されるため、外国人の入団に慎重な自治体も多いとされる。
そこで、泉佐野市は「機能別消防団員」の制度を採ることにした。あらかじめ決められた特定の任務に従事する団員で、避難所などで女性の被災者への対応などにあたる「女性消防団員」が代表例。市は、外国人の団員が公権力行使にあたらない任務だけを担えるよう準備を進めている。
泉佐野市は今後、在住外国人に入団を打診することにしており、木内利昭・危機管理監は「多様な人材に災害時の活動に参加してもらうことが目的。防災やボランティアに興味がある外国人に入団してもらえるよう募りたい」と話している。
![](https://assets.st-note.com/img/1718175257401-aghdrubQBz.jpg)
◆消防団員 普段は仕事や学業をしながら、火災や災害が発生すれば現場に駆けつけ、消火や救助、住民の避難誘導などに従事し、消防隊員の活動を補完する。任用は各自治体の条例で定める。
(略)
![](https://assets.st-note.com/img/1718175323348-6SLTjxhra8.jpg)
外国人団員の広がりを受けて、総務省消防庁は今年度中に、外国人団員が活動できる範囲を整理し、参考事例と合わせて一定の考え方を示す方向で検討している。曖昧だったその位置付けが明確にされる見通しで、同庁の担当者は「地域の実情に応じ、防災力の充実強化を図る上で効果的だ」としている。 (2024.5.22読売新聞オンライン 北口節子)
〈ことば〉
災害…地震、台風、津波などの天災や、事故、火災、伝染病など、思いがけ
ず受けるわざわい。またはそれによる被害。
担い手…①荷物を担ぐ人。 ②中心になってあるものごとを進めていく人。
泉佐野市…大阪府泉佐野市。大阪、京都は「県」でなく「府」
方針…めざす方向。目的。
仮称…正式な名前が決まるまで一時的に呼ぶ仮の名前。
詳細を詰める…細かい点まで詳しく決めていくこと。
導入…外部から導き入れること。
機能…はたらき、作用。
検討…じゅうぶんに調べ、研究すること。
曖昧…はっきりしないこと。
1 消防団員になれる外国人は、どんな人ですか。
2 次の活動うち、外国人消防団員ができることに○、できないことに×をつけ
なさい。
① 火災が起こったら駆けつけ、消火活動を行う。
② 火災現場付近の住民に退去の命令を出す。
③ 火災が広がらないよう、付近の家を破壊する。
④ 災害が起こったとき住民を救助し、応急手当を行う。
⑤ 災害で交通機関がまひした場合などに交通整理を行う。
⑥ 災害で交通機関がまひした場合などに、他の外国人住民や旅行者を避難
させる。
3「担い手」のように、動詞+手で「(仕事として)あることをする人」を表す
ことがあります。例にならってことばを作りましょう。
例) 歌う+手 ⇒ 歌い手(歌手)
① 働く+手 ② 買う+手
③ 売る+手 ④ 聞く+手
⑤ 話す+手 ⑥ かつぐ+手
*もう一度読んでみよう
災害や火災の現場に駆けつけ、救助や消火にあたる消防団。地域防災の担い手の消防団員を、外国人が務めるケースが増えつつある。外国人が被災する事態にも、言語や生活習慣の違いを踏まえながら適切に対応できると期待される。泉佐野市は今年度、府内で初めて、外国人「だけ」の分団を設置する方針だ。
泉佐野市が計画するのは「外国人消防分団(仮称)」。災害で交通機関がまひした場合などに、他の外国人住民や旅行者らの避難誘導や、避難所での通訳などを担うことが考えられている。
団員となる外国人は、日本語での日常会話を行え、日本人団員からの指示や命令を理解できることを必須とする。今後、市内の5分団との間で、外国人分団の運用について詳細を詰め、条例改正などの手続きを経て運用開始を目指す。
関西空港を抱える泉佐野市は、外国人就労者を積極的に受け入れる方針を掲げており、今年4月末時点の外国籍の市民は3028人と、人口の約3%を占める。さらに、コロナ禍が明けて市内に滞在する訪日外国人も増えたことも、外国人消防分団を導入するきっかけとなった。
消防団は、消防組織法に基づいて各市町村が設置する組織で、団員は非常勤特別職の地方公務員にあたる。団員の業務には、火災現場からの退去を命じたり、延焼を防ぐのに家屋を破壊したりする行為も含まれる。
しかし、これら「公権力」を行使する公務員には日本国籍が必要と、1953年に内閣法制局が見解を示している。団員についても同様と解釈されるため、外国人の入団に慎重な自治体も多いとされる。
そこで、泉佐野市は「機能別消防団員」の制度を採ることにした。あらかじめ決められた特定の任務に従事する団員で、避難所などで女性の被災者への対応などにあたる「女性消防団員」が代表例。市は、外国人の団員が公権力行使にあたらない任務だけを担えるよう準備を進めている。
泉佐野市は今後、在住外国人に入団を打診することにしており、木内利昭・危機管理監は「多様な人材に災害時の活動に参加してもらうことが目的。防災やボランティアに興味がある外国人に入団してもらえるよう募りたい」と話している。
〈こたえ〉
1日本語での日常会話を行え、日本人団員からの指示や命令を理解できる人。
2 ① ○ ② × ③ × ④ ○ ⑤ × ⑥ ○
3 ① 働き手 ② 買い手 ③ 売り手 ④ 聞き手
⑤ 話し手 ⑥ かつぎ手
例)若い人が減って(祭りの)神輿のかつぎ手がいない。
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