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空き家が900万戸で過去最高 30年間で2倍に、今後も増加傾向

 るに売れない、てるに捨てられない不動産ふどうさん問題もんだいげた「負動産時代ふどうさんじだい」というシリーズ企画きかく担当たんとうデスクを7年ほどまえにやりました。そのときつよかんじじたのが、日本にほん住宅政策じゅうたくせいさくの「ゆがみ」でした。住宅じゅうたくローン減税げんぜいにマンション建築けんちく規制緩和きせいかんわ…とにかく新築物件しんちくぶっけんをつくれ、え、のオンパレード。日本が人口減じんこうげんてんじても、高度経済成長こうどけいざいせいちょうモデルの住宅政策じゅうたくせいさく漫然まんぜんつづけた結末けつまつが、この家問題やもんだいでもあります。この「遺産いさん」の処理しょりを個こじんまかせても解決かいけつはしません。政治せいじ責任せきにん解決策かいけつさくしめすべきだとかんがえます。 
  (2024.5.1朝日新聞 デジタル企画報道部きかくほうどうぶディレクター 野沢哲也)

 総務省そうむしょうが30日に公表こうひょうした住宅じゅうたく土地統計調査とちとうけいちょうさ速報値そくほうち)で、全国ぜんこくが900万戸まんこにのぼり過去最多かこさいたとなった。総住宅数そうじゅうたくすうめる割合わりあい(空き家りつ)も13・8%で過去最高かこうさいこう更新こうしんした。高齢化こうれいかおも要因よういんで、今後こんごも空き家の増加傾向ぞうかけいこうつづくとみられる。
 調査ちょうさは1948年以降ねんいこう、5年ごとに実施じっし今回こんかいは2023年10月時点がつじてん総住宅数そうじゅうたくすうや空き家すうなどを調しらべた。
 全国ぜんこくの空き家は、前回ぜんかい18年の849万戸まんこから51万戸えた。比較可能ひかくかのうな1973年から一貫いっかんしてつづけており、この30年間ねんかんで空き家数は倍増ばいぞうした。
         (中略)
 総務省そうむしょうは、空き家の増加ぞうか高齢化こうれいかおも要因よういんとみる。核家族化かくかぞくかもあり、ひとりらしの高齢者こうれいしゃくなったり、施設しせつ入所にゅうしょしたりすることでえていくという。親族しんぞく相続そうぞくしても、こわ費用ひよう売却ばいきゃくむずかしさなどがかべになり、すぐに利活用りかつようにつながらないケースもおおい。団塊だんかい世代せだいの高齢化がすす今後こんごは、空き家はさらえるとみられる。
 空き家の放置ほうちつづくと、倒壊とうかい外壁がいへき落下らっかといった危険きけんし、ごみの不法投棄ふほうとうき放火ほうかなど治安ちあん悪化あっかにつながる懸念けねんがある。くには、改正かいせい空き家対策特別措置法たいさくとくべつそつほうを23年12月に施行しこう市町村しちょうそんが「管理不全かんりふぜん空き家」を認定にんていし、改善かいぜんされなければぜい軽減措置けいげんそちけられなくなるなど、対策たいさく強化きょうかしている。
           (2024.5.1朝日新聞 益田暢子、大和田武士)
 
 


〈ことば〉
 不動産…土地とちと、そこに立つ建物たてものなど。
 規制緩和…規則きそくをゆるめること。
 要因…あるものごとがきることになった原因げんいん
 漫然と……はっきりした目的もくてき意識いしきもなく、ただなんとなくものごとをす
     るようす。
 核家族…夫婦ふうふあるいは夫婦とその未婚みこんの子どもからなる家族。
 親族…血縁けつええん婚姻関係こんいんかんけいにある人々ひとびと親戚しんせき
 相続…んだ人の財産上ざいさんじょう権利けんり義務ぎむをすべてぐこと。
 団塊の世代…第二次大戦直後だいにじたいせんちょくごから数年すうねんあいだに生まれた人々。
 放置……そのままにして、ほうっておくこと。
 放火…火事かじを起こすためにわざと火をつけること。 
 



1野沢哲也さんは、「空き家」をべつの言い方で表現ひょうげんしています。4文字でさが
 しなさい。
2野沢さんは、この「空き家」問題の原因を日本の住宅政策の「ゆがみ」だ
 と言っています。具体的ぐたいてきにどんなことが「ゆがみ」なんですか。
3空き家が放置されると、どんな問題が起きますか。本文中から2つ探しな
 さい。
4「利活用」は「利用」と「活用」の2つの言葉を1つにまとめたものです。
 次の太字ふとじ言葉ことばを2つにしてみよう。
 ①空港くうこうではひっきりなしに飛行機ひこうき離着陸(りちゃくりく)している。
 ②自動車専用道路じどうしゃせんようどうろ駐停車禁止(ちゅうていしゃきんし)だ。
 ③平日へいじつこのあたりは登下校(とうげこう)の子どもたちでにぎやかだ。
 ④祖父そふはスマホメールの送受信(そうじゅしん)にとまどっている。
 
 



*もう一度読んでみよう。

 売るに売れない、捨てるに捨てられない不動産の問題を取り上げた「負動産時代」というシリーズ企画の担当デスクを7年ほど前にやりました。そのとき強く感じたのが、日本の住宅政策の「ゆがみ」でした。住宅ローン減税にマンション建築の規制緩和…とにかく新築物件をつくれ、買え、のオンパレード。日本が人口減に転じても、高度経済成長モデルの住宅政策を漫然と続けた結末が、この空き家問題でもあります。この「負の遺産」の処理を個人に任せても解決はしません。政治の責任で解決策を示すべきだと考えます。

 総務省が30日に公表した住宅・土地統計調査(速報値)で、全国の空き家が900万戸にのぼり過去最多となった。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)も13・8%で過去最高を更新した。高齢化が主な要因で、今後も空き家の増加傾向は続くとみられる。
 調査は1948年以降、5年ごとに実施。今回は2023年10月時点の総住宅数や空き家数などを調べた。
 全国の空き家は、前回18年の849万戸から51万戸増えた。比較可能な1973年から一貫して増え続けており、この30年間で空き家数は倍増した。
         (中略)
 総務省は、空き家の増加は高齢化が主な要因とみる。核家族化もあり、ひとり暮らしの高齢者が亡くなったり、施設に入所したりすることで増えていくという。親族が相続しても、取り壊し費用や売却の難しさなどが壁になり、すぐに利活用につながらないケースも多い。団塊の世代の高齢化が進む今後は、空き家は更に増えるとみられる。
 空き家の放置が続くと、倒壊や外壁の落下といった危険が増し、ごみの不法投棄や放火など治安の悪化につながる懸念がある。国は、改正空き家対策特別措置法を23年12月に施行。市町村が「管理不全空き家」を認定し、改善されなければ税の軽減措置が受けられなくなるなど、対策を強化している。
 


〈こたえ〉
1 負の遺産
2 住宅ローン減税にマンション建築の規制緩和…とにかく新築物件をつく
 れ、買え、のオンパレード。日本が人口減に転じても、高度経済成長モデ
 ルの住宅政策を漫然と続けたこと。
3 ① 倒壊や外壁の落下といった危険が増す。
② ごみの不法投棄や放火など治安が悪化する。
4 ① 離陸 着陸    ② 駐車 停車
 ③ 登校(学校に行くこと) 下校(学校から帰ること)  ④ 送信 受信



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