ブログ個別コンサルの真実【ディスクトップオジサン編】
春だ・・・。
厳しい風と雪を乗り越えた後にやってくるこの季節が私は好きだ。
小さな桜のつぼみは長く厳しい季節が終わろうとしていることを予感させる・・。
私はこの季節が一番好きだ。
ただ、サクラのつぼみを見るにつけ、そのさわやかな香りと共に、運ばれてくる一つのイメージを消せないでいるのだ・・・。
そう、春の香りと共に、あの伝説の男の姿がちらつき、私のメガネをほくほくと曇らせるのである・・・・。
もうあれから三年の時が過ぎた。そろそろこの伝説を語っても良いころだと思う。
そのコンサルは、いつものように1通のメールから始まった。ただ、その時私はそのメールが私の人生を変えてしまうなどは全く思っていなかったのだ。
私がブログのコンサルを始めたのは3年前。
その時は限りなく個人的にブログでやり取りしている人だけにアフィリエイトやその他のサポートを無償でしていた。
彼とは何度かメールでやり取りをしたのだが、結果的にどうしても私に習いたいらしく、わざわざ夜行バスで東北地方から私に会いにくるという。
毎回の彼とのメールはとても素朴で誠実であった。
「先生、まんずよろじくおねげーします・・」
「ここちょっとわからねーんで教えてケロ?」
「おら、ちょっと感動しちまっただズ・・・」
私自身今は都会に住んでいるのだが、生まれは田舎出身なので、非常に共感を覚えメールサポートにも力が入っていた。
そんな彼がわざわざ東北から来ると言うのだ。私はいったいどんなコンサルがはじまるのか?密かに期待していた。
待ち合わせは夜行バスの終着駅である東京駅。
丸ビルへ向かう横断歩道の正面に位置するカフェの前と言うことになっていた。
「折角わざわざ東北からいらっしゃるというのだ・・・。おしゃれなカフェでカフェオレでも飲みながら将来を語ろうではないか・・?」
密かに私はそう計画してた。
そして一足先に横断歩道の向かいにある丸ビルのおしゃれなカフェの前に立ち、彼の到着メールを待っていた。
そして待ち合わせの時間が過ぎたころ、彼からいつものような心のこもったメールが届いた。
「先生、東京についただ!今むがってます。ただ、一つだけ先生に言っていないことがあります・・・これは前もっていわなきゃなんねえと思いましたが黙ってました。実は実は・・。オラ、ディスクトップ持ってきてしまっただぁぁ・・・」
・・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
「・・・ディスクトップ!? ディスクトップと言うのは、もしかして充電ができない大き目のディスクトップパソコンを持ってきたということだろうか?
そうなるとこのカフェでは電源が持たない・・・そんな話は聞いていなかった!これは困ったことになったぞ?」
「まあいい、最悪ココは東京だ。充電が切れたら移動すればいいではないか?」
そしてオシャレな丸ビルのカフェの前でカフェオレを飲みながら待っていた。
メールがあってから待つこと10分。
駅からさほど遠くない場所なのに、なかなか彼が来ない・・・・。
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・。
「あれ、どうしたのだろう?ちょっと東京は混雑しているから場所がわからなくなってしまったのだろうか?」
そう思い始めたころに、一人巨大な荷物を持っている男が横断歩道の向こうでで、こちらにゆっくり歩いてくるのを発見した・・・。
彼は、背中に大きな風呂敷に包まれた何かを持ち。
片手には巨大な車輪付きの旅行鞄を抱えてキョロキョロしている。
そしてゆっくりとゆっくりと道を歩いているのだ。
・・・・
・・・・・・。
ちがうな・・・。
あの男であるわけがないのだ。
たまたま東京に遊びに来た男だろう・・・。
そう思い、私は周囲を見回したが、これと言って、私に関係ありそうな人が歩いている様子がない。
視線の端に彼の背中の風呂敷を捉えながら、私はなおも街中に目を向けていた。
ただ、ゆっくり、ゆっくりと彼はコチラに近づいてくる・・・。
・・・・
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
ちがうな・・・・。
そんなわけがないのだ。そんなわけがない。
横断歩道の信号機が青から黄色、そして赤へと変わり、雑踏にいる人が一瞬動きを止めたその瞬間、私の背中には冷や汗が流れた。
なんと、横断歩道に向かいで風呂敷を持った男がコチラをしっかりと見つめているのだ!!!
・・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・ちがう。ちがう。違う。
いや、あの男とは違う。
・・・いや、あの男のはずがないのだ!!!
そんなわけがない。そんなわけがないのだ。
というか・・・。
・・・・・。
「あの人じゃありませんように!あの人じゃありませんように!!あの人じゃありませんように!!!」
向かいの信号機が点滅している間、私はいつのまにか手を組んで神様に祈っていた・・・・・。
しかし運命とは残酷なものである、信号機が赤から青へと変わり人々が横断歩道を渡り始めた時、私の方に手を振って向かってくるその男を見て確信した・・・。
・・・。
・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
ああ、そうなんだ。
あの人なんだ。
やっぱりそうなんだ。心が否定してもそうなんだ・・・。
私の今日のコンサル生はあの男なんだ!!
そして私は座席にカフェをおいたまま、立ち上がり、横断歩道に向けて深々とお辞儀をした。
・・・。
・・・・
・・・・・・・・・・・・・。
そうして伝説のディスクトップおじさんとのコンサルが幕を開けた。
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。
彼はカフェにつくと重そうに背負っていた風呂敷を下ろし、そしてゴロゴロと引きずっていた旅行鞄を私の座席の奥に止めた。
そして・・・。こう言い放った。
「先生許してケロ?家からそのままパソコンを全部持って来てしまっただ。どうしてもこのままカスタマイズして欲しくて、そのまま持ってきてしまっただぁぁあ・・・」
私はその時になって初めて気が付いたのだ。
彼が旅行鞄のようににゴロゴロ転がしていたのは、何とパソコンのサーバーだった。
そして背中の風呂敷にはどうやら、ディスクトップのスクリーンが梱包されているということだった。
そう昔パソコン触っていた方なら気づくと思うが、サーバーとスクリーンの分離型。
ネットカフェにおいてあるアレだ。
あのパソコンセットをそのまま東北から夜行バスで運んできたのだ。
「・・・まんず、先生におらのサイトをば見て欲しいです。ほいなら、ちょっとここでパソコン組み立てようと思いますが・・・」
・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・組み立てる??
・・・。
今からこの男は何をしようというのだ!?
まさか、今この瞬間からパソコンを組み立てる?
この丸ビルのおしゃれなオープンカフェの一角でパソコンを組み立てるというのか!?
・・・。
・・・・・。
ちがう。ちがう。違う。
そんなことがあっていいはずがない。そんなわけなどないのだ。
「じゃ、失礼しまして!!」
・・・・・
・・・・。
・・・・完全に彼のペースに飲まれ固まってしまった私をよそに、男は風呂敷を地面に置き、ひらりと結び目をほどいた。
すると中にはプチプチにくるまれた巨大なスクリーンが透けて見えたのだった。
この間わずか3分間。
私はカフェで凍り付いたまま、その光景を眺めていた。
・・・。
・・・・・・・・・・・。
人は死の瞬間に過去の歴史を走馬燈のように見るという。
私も、その短い3分間の間に、母親と過ごした懐かしい記憶を思い出していた・・・。
彼が無骨な手でプチプチを丁寧にはがしていくと、徐々に巨大なスクリーン本体が見え出した。
ただ、そのプチプチのディスクトップの間に何か別のものが挟まっているのを発見した。
・・・これは何だ!?
ディスクトップの付属品か?
電源コードか? アンテナか??
いや、違う。
ちがう。ちがう。違う
どう見てもそれはパソコングッズではないのだ。
プチプチにくるまれたものをよく見ると、それは「イカの燻製」「ビーフジャーキー」「チーズたら」などのおつまみセットだった。
風呂敷がほどかれ、そしてプチプチもとりのぞかれると、そこにはディスクトップ、そして最強のおつまみ3点セットが綺麗に並ぶことになった・・・。
「先生、これ先生のお土産だズ。良かったら食べてください、ほいならどうぞ♪」
彼は、プチプチと共に、クッション代わりに入れられていた最強おつまみセットを私のカフェオレの横におもむろに置いた。
・・・・
・・・・・・。
ちがう。ちがう。違う。
何か空間がここだけズレているのだが、私は固まったまま、その場から微動たりできなかったのだ。
・・・・。
・・・・・・。
「じゃ、ここにパソコンをおいて・・よいしょっと」
ガタンという音と共に私の横にある銀のテーブルの上に彼は巨大なスクリーンをおいた。
私のテーブルは小刻み振え、そしてカフェオレをカップの外に数滴飛ばした後、しばらくしてまたもとのように動かなくなった。
「では続いて、サーバーをば・・・。」
・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
まてまてーーい!!
遂にこの瞬間私は夢から醒めた。
最強のおつまみ3点セットと、巨大なディスクトップを私の机の横におかれて遂に正気に戻ったのだ。
ここでこんなことをしてはイケない。
誰がどう考えてもここでこんなことはしてはいけないのである。
「ちょ、ちょっと待って下さい。待ってください!!ちょっとここじゃそのパソコンは大きすぎますよね?電源がそもそもこのカフェでは借りられないと思います!!ちょっと僕が他の場所を取るので待ってもらえますか?」
そう。この丸ビルのカフェの一角に怪しい基地を作るわけにはいかない。
すでに時間も昼頃に差し掛かり徐々に人が増えている。
もう、気づいているかもしれないが、普段は無関心な東京人の視線は私たちに釘づけになっていた。
視聴率は200%を遥かに超えていたと思う。
「い、い、移動しましょう!!」
そういって私はカフェでの会計を済ませ、移動を決定した。
「ここにいてはダメだ。なんとか別の場所に誘導しなくては!!」
そう決めて、私はタクシーターミナルに向かい、そのディスクトップおじさんと一緒にパソコンを持って歩き始めた・・・。
・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・。
ちがう。ちがう。違う。
10キロはあろうと思える、クソ重たいディスクトップセットを持ち、しびれる手をマッサージしながらタクシーに乗り込むと、私は心の中で叫んでいた。
「先生、今日はもうしわけねっス。前もっていっでおぐべきでしたぁぁ」
「・・・・はい。そうですね。ちょっとこれはカフェでは難しいですね・・・(-"-)・・」
「ほいなら、先生このお土産どうぞ!夜行バスで食いきれねっし、持って帰るのもなんだから、先生に差し上げます。先生お酒お好きなようですし、イカの燻製好きですか?」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
「要りません。」
・・・ちがう。ちがう。違う
このコンサルは何かが私の求めているものと違うのだ。
私は心の中で叫びながらセミナー会場へタクシーへと向かったのだった・・・。
・・。
・・・・続く。
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