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煎茶でおもてなし ~どうやって選ぶ? お茶を見るポイント~

日本茶専門店の元販売員の視点から、
「煎茶を急須で淹れたいけれど、一体どのお茶を選べばいいの?」
という方に、お茶を選ぶ際のポイントをお伝えします!

普段は急須でわざわざお茶を飲まない方も、
来客などで用意が必要になる時がありますよね。

そのような時、お客様にお出ししても恥ずかしくない煎茶をスマートに選び、素敵なおもてなしが出来るよう、ご案内をさせていただきます!

お茶を普段飲まれない方も、お茶を見る視点が変わると、
味や香りだけでない魅力が発見できると思います。

1.そもそも煎茶って?

緑茶=煎茶と思われる方もいらっしゃると思いますが、
正確には、緑茶は”茶の葉の発酵を止めた不発酵茶”のことを指します。
半発酵茶はウーロン茶などで、完全に発酵させたものは紅茶となります。

茶の樹から、緑茶や紅茶、烏龍茶などが造られるのです。

緑茶を分類するといくつかの茶種に分かれ、煎茶はその中の種類(茶種)のひとつです。

番茶は葉が大きくなってから摘んだお茶などで、下級茶ということで安く流通しています。
お客様にお出しするお茶に、間違えて番茶が中身の緑茶を選ばないように注意しましょう!

もちろん、番茶はカフェインが少ないので、お子様や妊婦さんの身体にも優しく、味もさっぱりしていて普段遣いには最適です。

2.産地による違いって?

煎茶は、産地によって味や香りなど特色が異なります。
煎茶の香味に違いがあるのは、産地以外にも、摘んだ時期、製造方法、品種、火入れ加工、ブレンドによる違いなど、複合的なものではありますが、産地による違いも大きいので、紹介させていただきます。

茶産地として有名なのは、静岡県、鹿児島県、三重県など。
そのほかにも全国各地で栽培されています。

<静岡県>
県内の何処で摘んだものかによって特色が変わるのが特徴です。
土壌と水に恵まれ、山間部や平野部などの地形によってさまざま様々な香味のお茶が造られます。

掛川茶、川根茶、本山茶、天竜茶などが有名です。

<鹿児島県>
近年生産量を伸ばしており、機械化や品種化が進んでいる勢いのある産地です。
2019年の茶の産出額は、なんとこれまで日本1位だった静岡県を抜いてトップに躍り出ました。

鹿児島県のお茶は知覧茶とも呼ばれ、
水色が鮮やかな緑色のものが最近多く見受けられます。
渋味が少なく甘味の強い品種を取り入れて栽培していたりします。

<三重県>
三重県のお茶は伊勢茶とも言われます。
お茶の栽培面積や生産量は全国3位!
葉肉が厚く、旨味とほどよい渋味が感じられるのが特徴です。
深蒸し茶やかぶせ茶を多く栽培しています。

元販売員としての勝手なイメージですが、

〇静岡県のお茶がおすすめの方
煎茶の爽やかさ、バランスの良い旨味と渋味を愉しみたい方

〇鹿児島県のお茶がおすすめな方
渋味や苦味のあるものは苦手で、甘味や旨味があるものがお好きな方

〇三重県のお茶がおすすめな方
ガツンとしっかりとした味を感じたい方や、渋味や苦味がある方がお好きな方。

以上のようにおすすめします。

自分の好みに合ったものや、お客様のお口に合う物を考える際に、
産地による味の特徴を押さえておくと選びやすくなります。

3.いくらくらいの煎茶が打倒なの?

ズバリ、来客用であれば上級煎茶をお出しするのがベターです!

煎茶の価格相場は、100gあたり1,000円前後であれば
「上級煎茶」といって良質な茶であることが多いです。
(※日本茶専門店の場合)

お茶屋さんで購入するのか、スーパーや量販店で購入するのかによっても、
中身の茶の質が多少異なるように思います。

実際にお茶屋さんで購入する1,000円のお茶の中身と、
スーパーで購入する1,000円のお茶の中身を比較すると、
茶葉の形状や淹れたときの風味も、質の違いを感じる時があります。

ただし、スーパーや量販店に置いてあるのが格別悪いという訳ではなく、
普段使いとして手軽に美味しく飲めるものが多いと思います。

専門店であれば、500円くらいのものでも
その店の特徴が出て、お客様に出しても恥ずかしくない、美味しくいただけるようなお茶に造られています。

4.茶商による特色の違いを見よ!

私が一番伝えたかったのはこれです!

茶商とは製茶問屋のことで、お茶を仕入れてブレンドする茶の専門店のことです。

産地によってなど、それぞれ味に違いがあることなどを紹介してきたのですが、
多くのパッケージ化され流通している商品は、
ほぼ、茶商によってブレンド(合組)されており、
その店の味に仕上げて販売されています!

お茶は宗教と言われることがありますが、その所以は、
一度その店のお茶のファンになってしまうと、
「あの店のお茶でなければ、飲んでも落ち着かない」という感覚になるのです。
つまり、それだけ茶商によって違いが出るということ。

例えば、築地の魚河岸付近にあるお茶屋さんは、
生魚を食べた後に口がすっきりするよう、少し強めに焙煎した煎茶が多いです。

また、煎茶は摘んだ茶葉を、蒸して揉んで乾燥させて造り上げられますが、
製造工程の蒸しをあえて強くし、茶葉をより蒸かした煎茶を販売するお茶屋さんもあります。

ブレンドするお茶を決めるのも、買付して仕入れるお茶を決めるのも、
すべて人の手で行われる仕事。

そのため、その店のブレンダーや仕入れ担当の人柄が、お茶の味に表れるのです。

農家などからお茶の仕入れをする際に、
「買い付けは、相手の人柄を見て決める」という言葉があります。

つまり、栽培する人が丁寧に愛情を持って茶園管理をする人なのかを見極めるということ。

お茶の小売りである専門店に対しても、お客さんの立場から同じことが言えます。
どういう風に商品を扱っているのか?
どんな方がお茶をブレンドしているのか?
お客様の話をしっかり聞いて、希望に沿ったお茶を提案してくれるか?

そういった視点からお茶の専門店を見てみてほしいです。

きっと、お店のフィーリングや人の雰囲気がと合うお茶屋さんのお茶は、
自分の好みにマッチしていると思いますし、
「渋いものは苦手」「色の綺麗なものが良い」「来客用を探していて……・・・」
など要望を伝えると、用途や希望に沿った良いお茶を案内してくれると思います!

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