見出し画像

金融サービス仲介業③(保証金)(令和3年4月時点)

1 金融庁は、令和3年2月22日に「令和2年金融商品販売法等改正に係る政令・内閣府令案等」を取りまとめ、公表した(https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210222/20210222.html)。これにより、政令、内閣府令、金融サービス仲介業者向けの総合的な監督指針(案)が明らかにされ、それによって、金融サービス仲介業者に供託を求める保証金の額などの概要が明らかとなった。

2 そもそも、法律では、保証金の内容として、
①政令で定める保証金を全て供託する方法(法22条1項)を原則とするが、
②当該保証金の全部又は一部を供託しない方法として、金融サービス仲介業者のために所要の保証金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約(以下「保証委託契約」という。)を締結する方法(法22条3項)を、
③当該保証金の一部を供託しない方法(②と異なり、全部を供託しないことは認められていない。)として、金融サービス仲介業者賠償責任保険契約を締結する方法(法23条)を、
それぞれ定めている。

3 そして、政令(案)等により、以下のような内容が明らかになった。
(1) 保証金の金額
   政令(案)26条によると供託すべき保証金の額は以下のとおりである。
   ① 事業開始の日から最初の事業年度の終了の日後3月を経過する日までの間 1000万円
   ② 各事業年度(最初の事業年度を除く)の開始の日以後3月を経過した日から当該事業年度終了の日後3月を経過する日までの間 1000万円+当該事業年度の前事業年度の年間受領手数料に100分の5を乗じた額
    ※ 例えば、対象期間の受領手数料が5000万円の場合には、1000万円+250万円となる。
 (2) 保証委託契約
    政令(案)27条によると、銀行保険会社その他内閣府令で定める金融機関(信用金庫や信用協同組合など。府令(案)29条参照)を相手方として、政令に定める要件に適合する契約が保証委託契約となり、これを締結した場合には、保証金の全部又は一部を供託しないことができる。
 (3) 損害責任保険契約
    政令(案)29条によると、政令に定める要件に適合する契約を損害保険会社その他内閣府令で定める者を相手方として締結する契約(同条1項)が金融サービス仲介業者賠償責任保険契約となり、これを締結した場合には、1000万円を控除した額に相当する額を限度として保証金の一部の供託を行わないことができる(同条2項)。

4 以上のとおり、事業開始の時点では、1000万円の保証金を供託すればよいのであるから、少額短期保険業者と同様(なお、その後の加算する金額の計算式も金融サービス仲介業と少額短期保険業者は同様である。)であり、参入障壁はそれほど高くないといえる。しかし、新規事業者の参入をより積極的に図ろうとするのであれば、保証委託契約、損害責任保険が具体的にどのような内容で準備されるかに関わってくる。事業者によっては最初に整備すべき供託に係る1000万円が参入障壁となることも考えられる。したがって、保証委託契約、損害責任保険がどのような内容で整備されるかについて、今後、注目が必要である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?