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美唄でうまれたたくさんのご縁

こんにちは、日本理化学工業の大山です。

前回のnoteで投稿したとおり、日本理化学工業の工場のある北海道美唄市にまつわる私たちの歴史について発信します。


炭酸カルシウムのダストレスチョーク

色のチョークは川崎工場、白は美唄工場で生産しています

私たちが主力商品としているチョーク、【ダストレスチョーク】は炭酸カルシウムが主原料です。
炭酸カルシウムが使われるものの代表に、歯磨き粉があります。また、食品や化粧品にも添加されることが多いもので、口に入っても、肌につけても安心なものです。

その炭酸カルシウムの原料として、実は2005年にホタテ貝の微粉末を加えたダストレスチョークが誕生していて、現在もすべてのチョークがこのホタテの微粉末が入っています。
なぜホタテの貝殻を再生活用することになったのかというと、実は貝殻が炭酸カルシウムだからです。
北海道では長い間社会課題として、ホタテ貝殻の廃棄問題がありました。中身のホタテを食べた後に出るホタテ貝殻が大量に廃棄され、適切に処分・活用が進まず頭の痛い状況だったそうです。
その課題を、北海道庁とともに北海道立試験場さんが弊社美唄工場にお声かけくださり、「北海道のホタテ貝殻」×「ダストレスチョーク」の研究開発が始まりました。

たくさんの試行錯誤、考え方を変えて光が見えた


しかしながら、最初にリサイクルされたホタテ貝のパウダーはにおいもきつく、不純物も多く、到底チョークに使用できるものではありませんでした。

それでもどうにか、この課題を良いところに転化しようとリサイクル業者さんを巻き込み、時間はかかったもののにおい、不純物を取り除き、チョークに使用できる微粉末にそろえるとこまで可能となりました。そこから一気に製品化に拍車がかかったのです。

ホタテ貝殻。見た目はきれいですが、海のものなのでにおいや汚れもあります。

販売するにあたっては、この商品が社会課題を解決するために試行錯誤して研究された商品であり、エコの観点からも十分に認められる商品であることを問屋様、お客様に知っていただく必要がありました。
そのために「エコマーク」を取得することで、多くの方にホタテ貝をリサイクル活用した新しいダストレスチョークを発信したいと取得を試みたのですが、「エコマーク」取得には、リサイクル素材60%以上含有が登録条件でした。
ダストレスチョークに60%以上のホタテ貝殻の微粉末を加えて検証すると、大変硬く、またホタテ貝の微粉末をたくさん使用することで1本あたりの単価が上がってしまいます。
学校や塾の現場で安心してたくさん使っていただくためのチョークが、高価なものになっては教育現場に迷惑をかけ、また選んでいただけなくなります。
ですから、「エコマーク」取得のために、書き味や品質を落とすことは考えられませんでした。

そこで、私たちはすべてのダストレスチョークに、このホタテ貝殻の微粉末を加えることでリサイクルできる全体量を増やし、価格を抑えることでこれまで以上にたくさん流通できるように、と考え方を変えました。高品質であることを優先したのです。

「エコマーク」取得、という目先の目標だけにこだわっていたらたどり着けなった視点でした。この思いをもって、ホタテ貝殻の微粉末をどの程度加えると、高品質で価格も抑えられるかの研究が続きました。

大きな転機

配合の調整を繰り返し、やっと書き味、白色度がこれまで以上に向上した新ダストレスチョークが完成したとき、環境省からお呼びがかかりました。
「グリーン購入法」(持続可能な発展や循環型社会の実現を目指して、2000年5月に制定された環境に配慮した商品調達を推進する法律)でのチョークに認定されるかどうか、というヒアリングの際、私たちがこだわった、
「本当の環境配慮のためにはサイクルのパーセンテージだけでなく、ダストレスチョーク全体でホタテ貝をリサイクルし、使用する量を増やすことを大切にしたい」を丁寧に伝えたところ、リサイクル含有量【10%】で「グリーン購入法」の基準を満たしましょう、という決定になったのです。

私たちが信じて挑戦してきたことが、国に認められる形で実現し、正式に〈商品調達の際に推進される〉商品となったのです。

北海道美唄市に工場がなかったらこのホタテ貝殻の微粉末が入ったチョークは生まれなかったかもしれません。
周りの協力があってこそ、このチョークができたのです。

北海道美唄コンテナショップを川崎に


前回発信した、美唄市の福祉に対する思いに触れ、また、一方で寒さと積雪の多い冬の厳しさも理解するなかで、美唄市の農業を中心とする経済を、ほんのわずかでも支えたい、また素晴らしい町、美唄のことを多くの方に知っていただきたい、という思いが強くなってきました。

そこで考えたのが、川崎工場の敷地内にアンテナショップという位置づけで美唄を発信するお店をつくることでした。

チョークなどを運ぶ、コンテナ便

美唄工場で生産している白チョークを川崎工場へ、また川崎工場で生産している色チョークやキットパス関連商品などを美唄工場へ送るために、コンテナ便を週に2度ほど利用してきました。
秋には美唄で収穫された、じゃがいもやかぼちゃなど、コンテナ便の空き部分に野菜を入れて社員に送ってもらうなど、これまでコンテナ便を活用してきたことから、常温で運べるものはコンテナ便を活用して、輸送費の削減を図ること、さらに、販売する場所を小さなコンテナハウスを活用することで、2つの意味合いをもたせた「コンテナショップ」が誕生したのです。コンテナと地域の物産品を販売する「アンテナショップ」を掛け合わせる意味も込めました。

川崎工場敷地内にできた、コンテナハウスを利用したショップ

美唄フェアの開催

おかげさまで、美唄の美味しいもの、地域の発信を川崎でという目的の美唄フェアも回を重ねて地域のみなさまに定着しつつあるように感じます。
先週5/25(土)に開催した北海道美唄フェア(2024年春)では、毎年春に私自身も楽しみにしている、美唄からの産地直送、採れたてのアスパラガスが大好評でした。今回も近隣にお住いの方を中心に多くの方にお買い求めいただける目玉商品となりました。
美唄市の桜井市長にもお越しいただき、フェア開始前にはかわさきFMの生放送出演、設営準備、フェア開催時間中は接客に美唄市のPR、終了後も撤収まで全力でフェアの盛り上がりを応援いただきました。

そして今回初めての試みとして、普段コンテナショップで扱っている、エゾシカの串やつくねをジビエ専門店の【mt.(エムティー)】さん、体に負荷の少ないヴィーガン(動物性の食材を使用しない食の考え)にこだわったハンドカットフライやクッキーなどのスイーツが人気の【アソンブロッソ】さん(※)、2つの美味しいフードがキッチンカーで(またはその場で焼いて提供いただいて)、ご来場のみなさまにゆっくりとくつろいでお召し上がりいただける飲食スペースを設けました。
さらに、【みぞのくち醸造所】さんには、この春、美唄の農家さん貞弘農場さんのお米をつかったクラフトビールを製造いただきご縁がうまれ、フードトラックでビールの販売が実現しました。
お肉あり、ポテトあり、美唄焼き鳥あり、とビールにピッタリの美味しい食事もそろい、大人の皆さんにもたっぷり楽しんでいただけるフェア会場となりました。

(※アソンブロッソさんのスイーツは、動物性・白砂糖・小麦不使用のため、アレルギーのある方にも安心してお召し上がりいただけます。通常のコンテナショップでもクッキーなどのラインナップでお取り扱いしています。)

美唄市のPRブース含めお客様で賑わうフェア会場

子どもたちがキットパス号に、またキットパスの手形や塗り絵で楽しむ横で、大人もおいしいビールとできたてのおつまみを片手に、ゆっくり滞在いただけるフェアとなり、美唄市から来てくださった桜井市長はじめ、市役所職員さんにスタッフ、関係者のみなさまも、弊社社員も大変嬉しい一日となりました。

これからも川崎工場、美唄工場ともに、ものづくりの会社として社員とともに歩んでいきます。

みなさまも北海道旅行の際は、ぜひ札幌、富良野、旭川に加え、美唄も訪れてみてください。
日本一に輝いた美唄焼き鳥、炭鉱の歴史も感じる角屋のやきそば、美しいアルテピアッツァなどなど、ぜひ訪ねていただきたい場所がたくさんあります。

今日は美唄市のこと、新しいダストレスチョークのこと、コンテナショップに美唄フェアと、盛沢山の内容で発信しました。
また次回もお付き合いください。

日本理化学工業
大山隆久

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