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検察庁法改正案について

記事執筆の理由

 今回、Twitterのトレンドに過去類を見ないほど大きな話題となった本件について、一筆備忘録代わりにでも書き留めておくことにした。
なにせ、コロナ禍において毎週のように土日のトレンド1位を当然のように掻っ攫っていったラブライブが、私の記憶する中で初めて「トレンド2位」で終わったのである。
 これは、オタクにしかわからないことかもしれないが、本来あり得ないことである。
 また、ここまで大きな話になったことにより、我が愛しの妻が大変に興味を示している。普段政治の話に毛ほども興味のない妻に、詳しく教えてほしいと乞われたら、私としては割とちゃんとした感じで教えたいのだ(コロナ自粛で大変暇であるということもあるのだろうが、それにしても、である)。

発端は一つの「閣議決定」

https://t.co/l2v9S6xUk7?amp=1
 令和2年1月31日にある閣議決定があった。
 それは、2月7日で誕生日を迎え(国家公務員の定年日は誕生日)る東京高検検事長の黒川弘務氏の「勤務延長」。事実上の「定年延長」ね。

 ただ、検察ってのは国家公務員の中でも特殊で、一般法の国家公務員法ではなく、特別法である検察庁法により定められている。
※一般法とはその分野に対して一般的に適用される法であり、特別法がない限りその法律は適用される。
特別法は一般法に優先する。一般法と特別法とで法が異なった規律を定めている場合、特別法の適用を受ける事象は一般法の規律が排除され、特別法の規律が適用される。

検察官の定年を定めているのは検察庁法

 検察庁法22条は検事総長以外の検察官は63才になった時に退官と定めている。検察庁法という特別法で定められているため、国家公務員法第81条の3を根拠にした定年延長は本来不可能。しかし、それを「閣議決定」により適用したのね。
 沿革としては、もともと国家公務員の定年は1985年に設けられたが、検察官にはその時すでに定められていたという事実がある。その定めがあるから定年延長については国家公務員法が適用されないということらしい。これについては2月10日に立憲民主の山尾議員が予算委員会にて明らかにしている。

https://video.twimg.com/ext_tw_video/1226784391248039936/pu/vid/854x480/KSP-GMi4gx9NX0Qv.mp4
↑見えるのかな?
アーカイブしてる山尾の国会答弁なんだけど、、、



 で、やっぱり検察官は適用されないのね。

法案の内容ざっくり

 国家公務員法の改正案の検討は、2008年から始まった。さらに人事院が2018年に意見を提出することで、本格的な改正案の策定が進み、今国会に提出されているというのが大まかな流れ。

そして
検察庁法の改正案
 検察庁法の改正案は、2019年後段臨時国会で提出される予定だった法案と、今国会で提出されている法案は内容が少し異なる。

①2019年版改正案

1.検察官の定年を65歳に引き上げる
2.次長検事及び検事長は、63歳に達した翌日に検事になる(その後65歳で定年退官)
以上です。極めてシンプルな内容でした。

②2020年版(今回の)改正案

1.検察官の定年を65歳に引き上げる
2.省略
3.省略
4.次長検事と検事長は63歳以降は平の検事になる
5.第4項について、次長検事と検事長は、内閣が定めた事情がある場合、1年以内の期間、引き続き次長検事又は検事長として仕事ができる
6.さらに、1年後も引き続き内閣が定めた事情がある場合、引き続き定年まで次長検事又は検事長として仕事ができる
7.省略
8.これらのことは内閣又は法務大臣がそれぞれ決定する。
 

割と違うねぇー。

今回の問題点①辻褄合わせ

 つまり、この問題の本質はどこか。勝手に国家公務員法を適用して検察官の定年延長を内閣で決めたが、のちにそれが違法とわかり、安倍首相が「法の解釈を変えた」と言ったために、その首相の言葉に、
合わない辻褄を合わせようとしたためにつきるのよ。全部安倍首相のいい加減な国会答弁が始まり。
 そしてさらなる問題(というかやっと今回の話題)、さすがに国家公務員法を適用して検察官の定年を延長させるのは無理だということで、今度は政府は法の解釈を変更したんだと説明しだした(「閣議決定」ってそんな無敵の便利道具だったんか・・・)。総理も法務大臣の答弁もぶれるのよくあったけれども、もっとおかしなのは、法務省と人事院が、検察官の定年延長を国家公務員法で可能だという法解釈を無理に変更したことを「口頭で決裁取った」という方だよね。法律の解釈を変更したと言い出した。流石に記憶に新しかろう、あの「閣議決定の決裁があるはずだから出せやゴルァ」と野党から言われて出したのが、あの「口頭決裁」というね(口頭決裁というのは確かにあるが、省庁毎の軽易な案件で使われるレベルに留まる。人事において口頭決裁がまかり通ることはないよ。また、口頭決裁でも記録は残すからねw)。
 そして違法にも黒川氏の定年を延長させたものだから、これの辻褄を合わせるために後出しで検察庁法を改正せんとして今回法案が提出されているわけ。しかもどうやって延長させるかといえば、内閣や法務大臣の意向、つまり時の政権の意向によってと。

問題点②改正案、よく見たらポンコツ

 結論から言ったら、法案は、単に65歳への定年引上げ=定年年齢の一律引上げではなかった。
役職定年=検事長など要職を離れる年齢を63歳と定め、その例外として、官邸が選んだ者は63歳以降も留まらせる。辞めさせるか留まらせるかは時の内閣が決める。という超忖度法案だったのね。これはどうあがいても、内閣の顔色を伺う検察官が出てくるだろう。
 一部の保守が言うように、検察は行政の一部だよ。しかしながら、司法と密接に関与し、「捜査~起訴まで幅広い権限を持つ職域」の者を、どうして一般と同じに考えられようか?仮に今回のこれが、「自衛官の定年延長」ならば、俺も誰も文句は言うまい。
 ことによっては三権分立を脅かすことになりうる、「独立性を守るべき」検察の人事にまで、内閣の影響力を及ぼそうという法案だからここまで反対されている。

終わりに

 まあぶっちゃけ、1月の定年延長から始まり、全部が全部誰かが絵に描いたものともおもってないけど、ここまで来たらこの波には乗りたい。
これは右左問わず批判されてもおかしくない内容だよ。


と、長々と中卒が偉そうに語ったわけだけれども、あってるかわからん。
妻には見せるが、間違ってたら誰でも良いから教えてけろ!貶しても良いよ!


なんかわかりやすい動画あったわwww


2.5.12追記
コニタンが法務省に確認して、改正案では検事総長を68歳まで定年延長できると回答貰ったってさ。

https://twitter.com/konishihiroyuki/status/1259996334930591744?s=21



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