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【マーケティングトレースvo5】「水なしで調理できる鍋」とは・・・愛知ドビー株式会社

こんにちわ!二瓶です。
普段、料理をしていてお昼も全て自作のお弁当です。
ただ、調理器具には一切関心がなく、特に高いものも買ったことがありません。
ただ、そんな時になんか馬鹿高い調理器具があって、でもすごい品質がよくて売れている!、というニュースをみて、こちらの会社と製品について調べてみる事にしました。

■「水なしで調理できる鍋」
愛知ドビー株式会社とは・・・

愛知県名古屋市に本社を置く、鋳造メーカーです。もともとは船舶などに使われる油圧部分などの精密部品を製造している下請けの町工場だったようです。しかし、先行きが見えない経営状態を打開するため、持っている鋳物(いもの)を作る技術を生かして「鍋」(調理器具)という新しい分野に挑戦をして行こうと決心。
「水を使わずに素材本来の旨味を最大限引き出すこと」ができる、「バーミキュラ」という鍋を開発し、今や数ヶ月先まで予約待ちといったほどの大人気商品を作りだしています。

愛知ドビーは二人の兄弟経営者が営んでいます。
家業を立て直すため、土方社長(兄)は勤めていた豊田通商を辞めて、愛知ドビー株式会社を再建するために2001年に入社。2006年には土方智晴副社長(弟)も、トヨタ自動車を辞めて入社しています。

後述しますが、この二人が鍋づくりに取り組むストーリーもとても素晴らしく、商品がさらに世に広まって行った要因かと思っています。

代表取締役社長 土方邦裕        代表取締役副社長 土方智晴

事業内容:鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」の製造・販売
売上:44億5500万円(2017年11月)
資本金:16,500,000円
従業員数:220名(2017年4月現在)
ブランドスローガン:「手料理と、生きよう。」

■なぜ、ここまで急成長できているのか?

会社の設立は、1947年ですが、この鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」が開発されたのは、2010年から。にも関わらず、売上は年々上昇をしています。

先にお伝えすると、私としては下記3点が売上に大きく寄与していると思っています。

①他社に負けない圧倒的な鋳物製造の技術(製品開発力)

人々が共感できる会社ストーリー。SNSによる拡散・WEBサイトの充実(ブランディング力)

③徹底したカスタマーサービス(関係性構築力)

それぞれ、口述する前に
まずは、PEST、3C、STP、4Pで外部環境とマーケティング領域を整理していきます。

■PEST分析

高い鋳物製造の技術力を持つ愛知ドビー社。だだ鋳物を製造する下請け会社で終わってしまう前に、別の形で商品化してビジネスを拡大させていこうと、大きく経営方針を転換していきます。

■3C分析

■STP分析

S:家庭のある主婦、プロの料理人など日々料理をする層。

T:価格よりも商品の質を選ぶ消費者。今までとは違う調理器具で今まで違う料理を楽しみたい消費者

P:料理を楽しんで安心・安全を実現できる。無水で素材本来の味を引き出す鍋。

普段、料理をしている人たちが、バーミキュラを利用することで、今まで作っていた料理とは全く違う、味・楽しみ方を手にすることができます。
そして、確かに価格は高いのですが、分割購入なども可能で、誰でも購入しやすいように、消費者目線でサービスを届けています。

■4P

価格帯は高いですが、それでもその商品を魅力的と思い、買ってもらえる力がこのバーミキュラにはあります。

この4Pに付随して、先に述べた3つの重要ポイントについてについて述べます。

☆なぜ売れるのか?

①他社に負けない圧倒的な鋳物製造の技術(製品開発力)

今までの鋳物製造の技術をフルに発揮した、独自の鍋を開発しています。
・食材に効率的に熱を伝え、素材本来の味を引き出す
・遠赤外線加熱で素材の組織を壊さず調理ができる
・蒸気が満遍なく対流できるようにした、蓋の構造

これらを製作する高い鋳物技術力がまずは大前提としてあります。

②人々が共感できる会社ストーリー。SNSによる拡散・WEBサイトの充実(ブランディング力)

愛知ドビーのバーミキュラのHPは顧客目線でしっかりとUIが作り込まれており、随所にブランドメッセージが散りばめられています。

商品を売るのではなく、その商品を使うことでどういった未来が起きるかを随所で訴求しています。例えば。「息子がブロッコリーを食べた」「外食がなくなりました」など。

また、この商品を作るに至った、創業者のエピソードもHP上に載っており、ただの鍋という感覚ではなく、会社のストーリーを理解した上で商品を買うことができるので、商品の良さが伝わりやすく、より長く使っていこうかなという気持ちにさせてくれます。

それに合わせて、SNSでの発信にも積極的に取り組んでいて、レシピや使い方を紹介しています。鍋を長く使ってもらうための工夫を、SNSを通して行い、長期的に消費者と関わっています。

こうした取り組みをしたことで、プロの料理人がSNS上で拡散をしてくれて、さらに商品が世に広まるなど、大きな宣伝効果を生んでいます。

③徹底したカスタマーサービス(関係性構築力)

一生寄り添うパートナーとして、バーミキュラを通して顧客と関わり持つということで、多様な顧客ニーズに応えるために設置されたのが、専用のコンシェルジェによるサポートデスク(オーナーズデスク)。
購入前の相談から、注文、使い方、調理方法の疑問、修理の問い合わせが可能で、修理に至っては何度も。色も途中で変えることができ、一度買った鍋を本当に一生使えるように、コンシェルジェがサポートしてくれます。

これをしてくれると、高い値段払っても品質がよく、ずっと使えるバーミキュラを買っても良いかなと思いますよね。
徹底した顧客視点で、バーミキュラを毎日使い、安全・安心・楽しみ・手軽に使える未来を実現しようとしています。

■自分がCMOなら・・・

・まだ料理をそこまでやってことのない層にも利用できるレシピの開発
※特に料理男子が増えているので、男飯系やお弁当に使える料理などコンテンツを拡充させていきたい。

・他社と協業を促進※認知度拡大
例えば、クックパッドさんと協業して、バーミキュラを利用したレシピの作り方を配信したり、ライブ映像で料理の工程を配信しても良いかもしれません。特にライブコマースの分野は今時流になっているので、ライブ配信→商品販売という流れで売れる販売網を作る。

・インスグラムの運用
もしかしたらインスタグラムはすでにやっているかもしれませんが、若い層へリーチできるSNSの活用もありです。インスタグラムを活用することで、よりブランド力も強化されそうです。

■まとめ

会社・商品の徹底したブランディング(高くても買ってもらう理由づけ)とその後の顧客に寄り添うサービス形態。ただ鍋を買って終わりだけでなく、その後の一生のお付き合いを考えている企業としてのあり方が、ここまで急激に消費者に支持される所以だと思いました。

以上〜

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