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手洗いから学んだ「命を預かる仕事」という自覚

学生の頃、某ファーストフード店でアルバイトをしていました。自分が好きなファーストフード店だったので、アルバイト特典として半額クーポンがもらえるというのが心惹かれた理由(邪念)

お店には膨大なマニュアルがあります。全国津々浦々まであるお店なので、どのお店でも一定のクオリティを保つために、マニュアルって大切なことですよね。

例えば、手洗いひとつにしても、洗い方に細かい指導がありました。

「人の命を預かる仕事だと思って手を洗ってください」

学生のアルバイトなんて、働いた時間分のアルバイト代がもらえて、仲間と楽しく働ければOKなんて気軽にやっていますよね。でも、食品を扱う仕事ということは、最悪の場合、お客様の命を奪うこともあるのだと、自覚した出来事です。

人の命を預かる仕事ってたくさんある

昔は、命を預かる仕事というと、お医者さんくらいのイメージでしたが、よくよく考えると、世の中には命に係わる仕事ってたくさんありますね。

例えば、バスひとつとっても

バスの運転手さんはもちろん
バスの運行の安全にかかわる人
バスが安全に走れるように道路を整備する人
バスを設計する人、製造する人

ここにかかわるお仕事をしている人が、バスに乗るお客様の命を預かっているわけです。

自分の「このくらいいいか」という気のゆるみは、大事故につながるかもしれない。そう思って、みなさん日々の業務に邁進しているかと思います。

自分のかいた線が人の命に直結している

私が住宅の設計の仕事について、そろそろ20年になります。初めて、設計を担当した(先輩のサポートはもちろんありましたが)お家のときのことは、本当によく覚えています。

私の最初に勤めた工務店では、家の構造を決める伏図を自分たちで書きます。どこに柱を入れるか、梁をどうかけるか、ひとつずつ計算。構造的な安全性はもちろん、意匠の見え方も考えながら図面にして、プレカット工場に発注していました。

自分でかいたと言っても、社内のチェックもありますし、プレカットのCAD担当の人との打合せもあり、二重三重のチェックを経て決定するので、もちろん安全です。

そして、初めての建て方の前日、「自分のかいた伏図がいよいよ現実に建つ」というワクワクと、そのプレッシャーによく眠れなかったことを覚えています。

もし、伏図に不備があったら、建て方が止まってしまう
もし、伏図が間違っていたら、地震で家が倒れてしまうかも

20年も経つとゼロではないものの、眠れないほど緊張することはなくなりました。

初心忘れるべからず

そこに住まう人たちの命を預かっているのだと、自分に言い聞かせるために、最初の家の現場のことを思い出すようにしています。

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