チンパン回覧実記(到着)11
[到着]
コンビニを後にしてしばらく走行しているうちに木々が多くなっていることに気が付きました。木と車、自然と人工という相反するこの状況にぎこちなさを感じつつも、この木道からサバンナ効果を同時に印象付けられております。この高揚感はアフリカで初めて父と母とジャングル徘徊をしたときの気持ちと似ております。
「そこ左に曲がって。」
「そこの細い道ですか。」
「そーそー。山に入って行くからさ。」
車のハンドルを回して小道に入りました。この道は山を駆け登るための道のようで徐々に標高が高くなっていくのが分かる程の傾斜です。このような傾斜にも関わらず、なんと片側車線でガードレールもありません。落ちたらどうしようと考えつつも慎重に運転をすれば大丈夫だろうと自分を納得させながらアクセルを踏みました。
「このまま道なりに進んでもらって、道がなくなったらじいちゃん家に着くよ。じいちゃん家が山頂にあるってことね。車は庭に止めておけばオッケー。」
「承知致しました。」
途中廃墟もありこれが限界集落の末法なのだなと思いました。窓ガラスが割れており、そこから内部が見えました。そこにはタンスや綿織物らしき物があり、ヒトとヒトが共有していた時間が存在していたのだなと感じとることが出来ました。また、ヒトがいなくなるということはこういうことなんだなと言葉には表せられませんが、雰囲気を感じ取ることが出来ました。
「到着〜。疲れたねぇ。お疲れ、チンパン。」
「お疲れ様でした。確かにこの広さのお庭ならここに車を止めておいても邪魔にはなりませんね。」
エンジンを切ってから間もなくするとおじい様が玄関からお出迎えをしてくれました。
「よく来たね。いつぶりだ。おぉ、本当にチンパンジーだ。」
バナナを購入したいと思います。メロンも食べてみたいです。