眠れない夜

たまに仲違いしてさよならした人やなんやかんやで疎遠になってしまった人を思い出す。
人はさよならを繰り返す。
もはや、さよならのために出会いがあるのかとさえ思う。
さよならは寂しい。
どんなに楽しくても嬉しくても、さよならが過ぎった瞬間に胸が寒ーくなる。
こんなことを考えて生きていても楽しくないらしい。
それでも考えてしまっていたし、その癖は今も治らない。
さよならをしてしまった人はいなくなったのではないのかもしれない。
その人の記憶や思いは私の中に生きている。
それらに影響を受けて、今こうやって生きてへんてこな文章をスマホでポチポチ打っている。
他人の思いを受け取って、他人も私の思いを受け取っている。
さよならを合図に人は思い出に変わる。
思いを互いにバトン渡しする。
今までたくさんのさよならがあった。
二度と会えないさよならもあった。
さよならが切実なほど、渡されるバトンも切実さを増した。
そのバトンを受け取るのがどうしようもなく大変で転んだり立ち止まることもある。
だけど生きている限りバトンは繋がれてゆく。
好きだったあの人も、嫌いだったあの人も、
みんなみんな自分のなかで繋がってゆく。
さよならは思いを繋ぐ合図かもしれない。
みんなひとりぼっちで、ひとりぼっちじゃない。

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