20年8月に読んだ本の一言感想メモ

◆20年7月はコチラ

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・『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』中野剛志★★★☆☆

一番わかりやすい経済の本を標榜しているが、最新のMMT(現代貨幣理論)にまで踏み込んでいて扱っている内容は決してやさしくない。景気回復には脱デフレを目指すべきという論旨には大筋同意だけど、民間への再分配が伴わないインフレならデフレの方がまだましっすよ。

・『2030年の世界地図帳』落合陽一★★★☆☆

2010年の国際サミットにて全会一致で可決された「SDGs(持続可能な開発目標)」を下敷きにして未来の青写真を予測する。各テーマごとに豊富なグラフと専門家との対談が載っていて良かった。

・『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』辻野晃一郎★★★☆☆

グーグルに転職した元ソニー社員の自伝。何度も提言したのに上司が"ウォークマン"の成功にしがみつきAppleの"iPod"に後塵を拝してしまったと嘆く。筆者にとってソニーは恩師ではなく反面教師だったようだ。

・『パラドックス13』東野圭吾★★★☆☆

忽然と人間が消えた東京の街を13人の男女が過酷なサバイバルをする。わりとありがちなプロットで、登場人物の性格・行動もテンプレではあるが、それでも最後まで面白く読ませるのはさすが東野圭吾の筆力。

・『失敗の科学』マシュー・サイド★★★★★

致命的な失敗はいかなる条件で起きるのか?そして失敗から学んで次に生かせる組織とそうでない組織の違いとは?紹介される事例がとても興味深く、個人的に一番ためになったのは「事前検死」(あらかじめプロジェクトが失敗した場合を想定してなぜうまくいかなかったかを検証する手法)でした。

・『徳川がつくった先進国日本』磯田道史★★★★☆

江戸時代は幕末ばかりが注目されがちだが、徳川幕府が長期にわたって繁栄した裏には、それ以前に4つの大きな大きなエポックがあったという。薄い本だが内容はとても濃く、非常に考えさせられる一冊。

・『オタク学入門』岡田斗司夫★★★★☆

オタクがまだ強い偏見をもたれていた70年~90年あたりの文化論。自身も"ひきこもりおたく"を名乗る身として「(例えば)アニメだけが好きな人間は単なるファン又はマニアでしかない。単独のジャンルだけに興味を持つ、というのはオタク的な価値から大きく外れている」は耳が痛いぜ……。

・『一門 "冴えん師匠"がなぜ強い棋士を育てられたのか?』神田憲行★★★☆☆

村山聖の師匠として有名な森信雄の門下生15人にインタビュー。筆者の尋ね方がうまいのか、ふだんなら絶対言わないような棋士たちの大胆な本音がたくさん聞けて読みごたえがありました。

・『異戦国志〈10〉~〈13〉』仲路さとる★★★☆☆

もし本能寺の変で織田信長が生き延びていたら?というifですすめられる壮大な戦国シュミレーション。昔9巻まで読んだきり放置してたからずっと続きが心の片隅に引っかかってたんだよね~。ああ、すっきりした!

・『イシューからはじめよ』安宅和人★★★☆☆

難解なので全部は読まなかったけれど序章に必要なエッセンスの大半が詰まっている気がする。与えられた問題をどう対処するか(解の質)よりも、"本当の問題は何か"を見極める力(イシューの質)に注力せよ。そのためにはまず強引にでも具体的な仮説を立て、言葉に落とし込むのが大切らしい。

・『「謎」の進学校 麻布の教え』神田憲行★★☆☆☆

自由な校風かつ変人の多さで知られる麻布学園を密着取材。着眼点は面白いが、彼女の有無を突っ込んで聞きすぎ。男子校の生徒に恋愛の話題を振るのは断食中のイスラム教徒に肉料理をすすめるくらいタブーやで←

《今月の私的TOP3》


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