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『ぐりとぐら』から考える刺さる文章

『ぐりとぐら』シリーズの絵本を
親になってから読むようになったのは、
友人が1歳半になった息子にへと
プレゼントしてくれたのがきっかけだった。

ぐりとぐらを渡された時、
「今まだ『じゃあじゃあびりびり』とか、
『こぐまちゃんのパンケーキ』を
読んでいる息子に
ぐりとぐらはまだ早すぎるって!」
と思いながらも読み聞かせをしたのだが、
なんと、息子はちゃんと最後まで集中して
お話を聞いてくれたのだった。

あらためて、
名作ってすごい!!
と思った。

ぐりとぐらの魅力的な文章の背景

ぐりとぐらの魅力は
素朴でシンプルな絵もそうだが、
私は何といっても、
「ぼくらのなまえはぐりとぐら」
とリズミカルな、口に出したくなる
あの文章ではないかと私は思う。

最近、ぐりとぐらを出版している
福音館書店のホームページで
作者である中川季枝子さんのインタビューを
目にして、ハッとすることがあった。

「話が、少しでもだれると、子どもはついてこない。そっぽを向いてしまう。園で一年に一度、劇をしたの。台本は、役者である子どもひとりひとりに合わせて私が書き、台詞は口うつしで覚えてもらう。その時、ドラマの筋に関係のない台詞は、なかなか覚えないということがわかった。なくてはならない台詞は、たとえ長くてもいっぺんで覚えるのです。だから、覚えないのは台詞が悪い。けずってけずってけずりました。
そういう意味で、私は、本の読み方も、お話の作り方も、子どもたちに教えられたんですよ。目の前に、生きた子どもたちがいたんです」

ぐりとぐらが生まれた日①/中川李枝子さんインタビュー(福音館書店ホームページより)

なるほど、
あの子どもを惹きつける文章は
中川さんがどうやったら
目の前の子どもが「面白い!」と
その心を惹きつけるものができるか、
日々子どもと向き合い、
試行錯誤された中でできたものだったのか。

「お客様目線」が分かりません

伝わりやすい発信方法、
広告物作成などといった記事でよく目にするのが
「お客様目線で書きましょう」という言葉。

でたーーー
オキャクサマメセン!!
その言葉を聞くたびに、
だからそのお客様目線が分からないんだよ!
そのお客様目線がを知る方法を教えてくれよ!!
なんてパソコン相手にイーッとなる私なのだが

先の中川さんのインタビューを読んで
「なるほど」とそのお客様目線について
自分なりに腑に落ちたのだ。

ぐりとぐらの冒頭は

「ぼくらの なまえは ぐりとぐら
 このよで いちばん すきなのは
 おりょうりすること たべること
 ぐり ぐら ぐり ぐら」

『ぐりとぐら』福音館書店

じゃないとダメだったのだ。

「ぼくらはのねずみの兄弟、ぐりとぐら。
赤い帽子と青い帽子がトレードマーク」
ではいかんのだ。余分な言葉が多いから。

「美味しいご飯をつくってたべるのが大好き!」
ではいかんのだ。リズミカルじゃないから。

だから何が言いたいかというと
「相手の心に刺さる」にはやっぱり、
結局のところ相手の反応を見て、
試行錯誤を繰り返すしかない。

絵本って作者さんってその
類まれなセンスで作っているのかと思ったのだけれど、
ロングセラー代表の『ぐりとぐら』だって
中川さんの日々の観察と試行錯誤を経て誕生したのだ。

自分はお客さまの声を聴けている?
発信に夢中になっていない?
ついついインスタなどで
「見てみて」と発信に偏りがちな私だが、
お客さまの声を聞くツールとして
もっと活用したいと思うのでった。

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