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星に歌う少女


かごめ かごめ

かごの なかの とりは

いつ いつ でやる

よあけの ばんに

つると かめが すべった

うしろの しょうめん だあれ





あかかんざしを差した少女

あおかんざしを差した少女


草履と和服を着た小さな双子は

手を繋いで歌っていた

しかし

年月が過ぎるにつれ

互いに相容れない存在となった



黒い装束の巫女

白い装束の巫女



黒巫女は母の教えを受けていた

【民衆のために命を使え】


白巫女は父の教えを受けていた

【王族のために命を使え】



両親はすでに命を終えていた


黒巫女は蒼い簪を差していた

白巫女は紅い簪を差していた



- 天から宣告を受けた -


二人のうち

一人の望みを叶える




黒巫女と白巫女

神主から真剣が渡された

これは正真正銘の

決闘だった


迷いはあったが

二人は同時に構えた




民衆のため、想いのため、

失った母を呼び戻すために



王族のため、誇りのため、

失った父を呼び戻すために






最後に立っていたのは


黒巫女だった



だが

自ら願いをざした

ただ、一つだけ

取っておきたいものがあった





(うしろの しょうめん 

だあれ)





その夜

黒巫女は

星空を見上げていた

その髪には

蒼い簪と

紅い簪が差されていた

昔の繋いだ手を思い出し

うっすらと涙を溢しながら

黒巫女は、ただ一人

口ずさむように

星に歌う。

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