見出し画像

最期の声

つい最近まで話をしていた人達。
気づいた時には、もう居なかった。

姿形を変え、目の前に置かれた骨壷の中で眠っている。

差別をせず、誰にでも明るかった人

怖そうだけど、優しかった人

歳をとっても、子供心を忘れなかった人

生きるの辛いと泣きながらも、生きた人

真摯に向き合って、話を聞いてくれた人

仕事が忙しくても、家族を大事にしていた人

さまざま。

こんな小さな入れ物の中で、ずっと静かにしている。

そんなの当たり前…

の筈だった。


一欠片でも意思が残ってるんじゃないか

なんて空想に浸る中で

何かをぼやいてる気がした。


「もっと、生きたかった」

「もっと、人生を楽しみたかった」

「ずっと、そばに居たかった」

「ここ、怖いよ…」

「飛び降りたの、後悔してる…」

「やっと、愛犬に逢えたよ」

「痛くて苦しかったけど、楽になれたよ」

「大きくなった姿、見たかったな…」

「ごめんね…」



忘れないよ。

そう伝わる事を願って供花を手向けて

行き場の無い最期の声を胸にしまいこみ

ただ、前を向いて今を生きる

……しかなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?