目が凹む
ここ数ヶ月、疲れてくると目が凹む。
母が私と同じ年頃に気にしていたのを思い出す。
目がくぼんで三重になるのが嫌だとよくこぼしていた。
母の血筋は皆くっきりとした二重だった。実の息子とは思えないほどの一重だった私は、むしろその垂みを分けてもらいたかったものである。それがさらにへこんで三重になっていた。
そもそも目がへこむって感覚ってなんなんだと若い私は意味がわからなかったが、なるほどこれであったかと思う。
夜になって疲れてくると目が凹んでくるのがわかる。ここ数週間は午前からそうなっている日も多い。二重の母が三重になったように、そうなると一重の私もくっきり二重となる。
こういう次第なので、久しぶりにいらした患者さんなんかは「あらやだ先生、プチ整形でもしたのかしら」と思っているかもしれない。
姿形は父似だが、体質は母似だと思っている。母は貧血持ちであったが、私もその気があるのだろう。しかし、この年頃の男女では貧血の意味も重みも違ってくる。
いつも元気で明るく、病気知らずで病院嫌いの母は60でさっと逝った。
私もとりあえずのベンチマークを60にしようと思う。いや、これまでも思っていたが、さらに明確にするのである。
そうすると少し身体が軽くなる気がする。不思議なものだ。
その関所が過ぎたら過ぎたでまた考えればいいのである。
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