りんごに不慣れ。 #天才ボーカリスト後編
楽器寄りの声で削り出される歌が
名前のない超立体なら、
完全に人の声で削り出される歌は
超完璧な球体である
-
だいたいの人の球体には、
たくさんの欠損や歪みがあります。
それゆえに、彼のように
夜の雑踏を真っ二つに割くほどの破壊力はない。
前編で語った天才が、奥へ下へ響いてゆく声なら
後編で語る天才は、前へ上へ
トップスピードで突き進んでゆきます。
しかも、わずか一音に命を懸けるという高度な技術を
さも朝飯前のようにやってのけるので、
音源をよく聞くとたくさんの技術が
散りばめられています。
語尾の一音だけ息の量を増やしたり、
途中の一音だけにエッジボイスを差し込んだり
聞く度新しい発見があるので、
分析の終わりが見えません。
終わらせてくれる気はあるのでしょうか?
…話が脱線しかけました。
それでは少し角度を変えて。
超完璧な球体は、最初から超完璧だったかといえば
それは当然違うと思います
過日、6年前の曲を聴く機会がありました。
それは、そのバンドが始動したその日に
発売された曲だそうで。
今とはまったく違いました。
一瞬別人かと思ったほどです
音源を聴いただけでも
口の開き方が違うのが分かるし、
何より圧倒的に声量が足りなかった
あのままでは夜の雑踏を割くどころか
グラス1つ砕くこともなかった、と。
ここで書いていることは、すべて偏見にすぎません。
ただ、6年前の歌が別人に聞こえたことと
今の歌が、欠損も歪みもない超完璧な球体であること
これだけでも、その天才が6年間
血を吐くような努力をして
球体を磨き続け、鍛え続けたことは事実だと
思えるのです
実際に6年間何をしたかは、分からないし聞きません。
それは野暮というものでしょうからね
こちらは、その天才が歌で殴ってくる曲です、
迎撃できる自信があれば。
アウトサイダー/INTERAGE
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