見出し画像

bonobosのラストライブを観ながらシーツ替えてたの世界中できっと私だけ。


※MCの内容やセットリストのネタバレがあります。




2023年3月5日、また一組、好きなバンドが解散した。

彼らの名前はbonobos(ボノボ)。2001年に結成し、メンバーチェンジを経て昨日に至るまで20年以上活動を続けてきた。

私がbonobosを知ったきっかけは、「GOLD」という曲だった。当時スペシャでMVを観て、なんて素敵な曲だろうと思った。(メロディーや歌詞もさることながら、MVもとても素敵なのだ。)今でも名曲だと思っている。

ちなみに、「GOLD」については趣味の音声配信で紹介したこともある。


今でも、「お葬式でかけたい曲No.1」である。(そういう人多いんじゃないかな。)


「GOLD」が収録されているアルバム「オリハルコン日和」の発売が2009年らしいので、一応その頃から存在は知っていたことになるけれど
その時から今日まで、熱心に追いかけていた訳ではなかった。楽曲を聴き込んでいたということもなく、ライブに通っていたということもない。たまに好きな曲を聴くくらい。


2022年の4月、bonobosから“解散のお知らせ”が発表された。

「bonobosは、2023年の春に解散します。」と。


すごくすごく寂しかったし、「頑張ってライブやフェスに行けば良かった」というありきたりな感情にも苛まれたけれど
解散のお知らせに添えられた5人の写真を見て「bonobosは大丈夫だ」という、安心感みたいな、穏やかな気持ちでもいられた。


(感覚としてはサケロの解散の時と近い気がする。確かSAKEROCKもめちゃくちゃいい笑顔の写真を、当時載せてくれていたような…記憶違いだったらごめんなさい。
話変わりますけどナンバガの2回目の解散のお知らせの写真もとても良かったですよね。あれにも少し近いと思います。)


解散が決まってからも、楽曲は聴くがライブには二の足を踏む状況が続いていた。
最後だからライブに行きたい。でも解散が決まったからこそ、私のような者(にわかファン)が行くべきではないのでは、という気持ちのせめぎ合い。
そうこうしている間に時は過ぎ、残りの中で自分が行けそうなのは野音のラストライブくらいになっていた。そんな折、丸の内Cotton Clubでのワンマンが発表された。
駆け込みでファンクラブに入り運よくチケットを取ることができた私は、最初で最後のbonobosのライブを、Cotton Clubという最高の会場で堪能することができた。今回はこの話はメインではないので割愛させていただく。


そして迎えた3月5日。
Cotton Clubという機会があったこともあるが、ラストライブには応募しなかった。
本当の本当にbonobosを好きな人たちで野音が埋まって欲しかったし、私が心配するまでもなくチケットは完売すると思っていた。(実際、券種追加のうえ完売して当日券は無し!)
そしてありがたいことに、クラファンによるYouTube生配信と配信アーカイブも決まった。ここまでしてもらえるなんて充分過ぎる。


日曜日、私はなかなかベッドから起き上がることができなかった。最近仕事が立て込んでいたこともあるが、こんな風にずっと横になることしかできない日が私にはままある。
午後になってからやっと布団と離れ、ご飯を食べたり洗濯をしたりしたものの、出かけもせずにパジャマのままでだらりと過ごしていた。

配信開始の17時が近づいて、「あぁ今日は元気が無くて観れないかな。あとでアーカイブを観ようか」などと考える。
それでもやっぱり気になって、17時を過ぎてからライブ配信のURLを開いた。幸い押していてまだライブは始まっていなかった。
会場のお客さんを、さまざまな角度からカメラが映していく。後ろの方まで満員の野音。その光景だけで胸が熱くなる。

そしてついに、最後のライブが始まった。「1曲目KEDAMONOなんだ…!」かっこよくて息を呑む。そこから「.jp」の曲が続く。「Not LOVE」に頬は緩み身体を揺らし、「永久彗星短歌水」で早くもテンションは最高潮になる。


音も、照明も、映像も、本当に素晴らしかった。最高のスタッフさんたちが、最高の仕事をしていた。こんなにクオリティが高いものを無料で観れるなんてどうかしている。
(しかもライブ配信なのに、画面にはちゃんと曲名を出してくれてたんですよ。凄すぎませんか配慮と技術が…)


そんな素晴らしいライブ配信を観ながら、こんなツイートをした。


そう、bonobosのライブを流しながら、私は家事をすることにしたのだ。

彼らのパフォーマンスを観ていたら、なんだか「私は生活を頑張ろう」という気持ちになった。今日はなかなか起き上がれない日だったけど、今からでもできることをやりたい、と思った。
今このタイミングで寝具を洗濯しよう。そうしたら夜までには乾いて、溜まっている洗濯物がもう一回まわせる。そんな風に考えながら、ライブを流しているタブレットを持ち歩き、シーツや枕カバーを洗った。ちょうど新しい布団カバーをかけるタイミングで「GOLD」が流れてきて、「うわぁ…!」と1人部屋で声を上げた。続いて「Cruisin' Cruisin'」だったので(これも凄く好きな曲)また声が出た。


ここまで書きそびれていたけれど、今回も参加して下さっているホーン隊のお二人、Sax.小西遼さん、Tp.三上貴大さんの演奏もどちゃくそかっこよくて、痺れっぱなしだ。


シーツを替えてまた配信に集中する。「In rainbow, I'm a rainbow too」の照明が本当にきれいだった。
アンコールは2曲。うち1曲はこれまた大好きな「23区」。

アンコールが終わり、会場からまた拍手が起こり、ダブルアンコールになる。



森本夏子さんが話し始める。

彼女は、bonobosが解散したらベースを辞めて、音楽業界からも離れてしまうらしい。他の4人はこれからも音楽を続けるから、と。
会場の雰囲気からも、配信のコメントからも、それが今初めてファンに伝えられたらしいことが分かった。


そして、蔡さんが言ったこと。

辻さんが脱退するころ、佑司さんや龍平さんと出会い、メンバーになってもらおうと思ったこと。
そして、これが最後の固定メンバーでのbonobosだと決めたこと。
ここから誰か1人でも欠けるならこのバンドはそれまでだと決めて、新しいメンバーを誘ったこと。

そこから生まれた「THANK YOU FOR THE MUSIC(Nui!)」の話や、現メンバーで3つのアルバムを出した話。

蔡さんの話を聞きながら、そうか、そうだったんだ、と思った。

そうか、だからbonobosは解散するんだ。
そうか、だから最後のセトリも「.jp」や「23区」や「FOLK CITY FOLK」の曲で主に組まれていたのかな。


そんな風になんだか色々と腑に落ちて、蔡さんの言葉が、心にすとん、すとん、と入ってきてくれた。


サポートを入れたら、bonobosの曲を演奏することはできる。でもそれはbonobosではない。
楽器が上手い人は沢山いる。でも、このメンバーだからこそ奏でられるものがある。


Cotton Clubで聴いた夏子さんのベースは、めちゃくちゃかっこよかった。時にキレよく、でもグルーヴ感があってあたたかく、本当に素敵なベース。


20年以上続けてきたものを辞めることは、とても覚悟がいると思う。色んな事情があるにせよ。
そして、蔡さんが「最後の固定メンバーだ」と思ってbonobosを続けてくれたこと。それもまた一つの覚悟だった。


また一組、好きなバンドが解散した。それはとても寂しい。
でも、音楽は残る。そしてこれからも新しい音楽が作られていく。
だから、寂しくない。


ありがとう、さよなら、愛してる。
あなたの未来に祝福を。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?